
人事部の証言! 報われる努力の仕方、教えます。
あなたが知らない「評価のモノサシ」の中身
成果を出す社員と出せない社員はいったいどこが違うのか。有力人事部が成果を出す社員の働き方、考え方を明らかにする。
ジャーナリスト 溝上憲文=取材・構成
成果を出す社員は「ビジネスマン型」
流通 どういう専門性があろうが、つまるところ社会人、企業人として成果を発揮する社員の基本はコミュニケーション能力に長けていることだよ。人の言っていることをきちんと理解し、自分の言いたいことをきちんと伝えることができるかどうかだ。意外に思うかもしれないが、これがなかなかできない中堅社員が結構いる。コミュニケーション能力は社会人として入り口でもあるが、最後の決め手でもある。これに長けた人は会社や上司が教育しても吸収力もあるし、成果も上がっている。
電機 成果が出せる社員は「ビジネスマン型」、成果の出ない社員は「サラリーマン型」といってもいい。自律的に動くタイプなのか、受け身かの違いだね。自分が何をやるべきかちゃんと認識しているか、人に言われて認識するかの違いといってもいい。
IT 実際に私の部下にもそういうタイプがいた。1人は自分自身がやりたいというものを持ち、それを実現する力もある。だから仕事を任せれば間違いなく確実に仕事をこなしていける。しかし、もう1人はこちらがいくら説明しても理解してくれない(笑)。たとえば私なりに考えた時代の変化に応じた新たなビジネスモデル案を示し、彼にその先を考えて具体化するように指示した。数日後にできましたと言って資料を作って持ってきたのはいいが、それを見て驚いたね。私が考えた提案資料を単に組み替えただけなんだ。私としては提案についていつまでに誰がどういう方法でやるかについて考えてほしかったのだが、資料を見ると「~について検討する」と検討、検討と並んでいる。こちらは対策を考えてもらいたいのに「検討」の文字だけ。これではとても仕事を任せられない。
機械 そういうタイプは、いつまでに具体的にこれを仕上げろとちゃんと段取りをつけてあげないと動かない。決まった範囲内の仕事はできるかもしれないけど、今は手取り足取りやっている状況ではないよ。評価でいえばA~Eの五段階評価ではC評価どまり。絶対にA、B評価はのぞめないね。
IT 確かにそうなんだが、かわいそうなところもあって自ら考える訓練ができていないのは、これまでの業務のせいかもしれない。彼の経歴を見ると最初総務に配属され、その後、工場の総務担当を長くやっていた。20年前の工場の総務といえば、本社の指示で動き、比較的偉い存在で、考える習慣もなくこなせる仕事だったわけだ。それをずっとやってきた人間に、時代が変化したから君も考えてよ、と言っても無理なんだね。
食品 それから成果が出せない社員の口癖は何かにつけて責任転嫁の言い逃れが多い。たとえば、「受注が取れないのは製品コストのせいだ」と生産部門を非難したり、「製品コストが高いのは調達コストが高いからだ」と資材部門に矛先を向けてくる。
電機 会議などで議論している最中に一生懸命にメモを取っているヤツいるよね。メモというのは他人の話を聞いて、これは自分に生かせると思ったら取ればいい。一字一句きれいに書いて机の中にしまっていても、あとでそのメモを見ても自分の思いがこもっていないから意味がない。そういう人は議論や話をしていても、何かに関連づけて考えることが下手なんだ。
溝上 憲文
ジャーナリスト
みぞうえ・のりふみ●1958年、鹿児島県生まれ。明治大学政経学部卒業。経済誌記者などを経て独立。経営、ビジネス、人事、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍中。著書に『年金革命』『隣りの成果主義』『団塊難民』『会社を利用してプロフェッショナルになる』などがある。
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