
人事部の証言「同じ年齢で年収は2倍違う」
ここまできた!成果主義人事による苛烈な処遇の差
「(同期の間でも)すでに2倍ぐらいの格差がついている」――。多くの企業に成果主義が急速に浸透している。
ジャーナリスト 溝上憲文=取材・構成
評価によって40万アップダウン
電機 それは非管理職層でしょう。管理職になるともっと開くんじゃないの?
化学 そう。うちは非管理職層の資格は5段階、管理職層は年俸制一本だ。非管理職でも資格が上がらないという人もいれば、上がる人もいるが、賞与も含めた年収レベルでは管理職手前の上位資格の社員の最高額が約950万円。同じ同期がいる下位の資格の社員で450万~500万円かな。すでに2倍ぐらいの格差がついている。年俸制の管理職層は評価に応じて給与ランクが決まる仕組みだ。ランクが1号俸から60号俸まであり、号俸間の格差が大体8万円ぐらい。評価しだいで一気に5号俸アップする人も珍しくない。結果的に評価によって40万円アップダウンすることになる。本当はもう少し激しくてもいいと思うけどね。
IT うちでは40代前半で非管理職層がいるし、管理職層もいるが、それだと年収ベースで2倍ぐらいは違うかもしれない。私の同期でも実際に非管理職のままというのがいる。一時的に3倍ぐらいの年収格差はあったが、それは例外だね。
流通 シニアの社員でも給与が減る人が発生する一方、若い人でもたくさんもらえるようになった。昔は一定の年齢に達するまでは上の資格に進めないという年次制限があったが、それが取っ払われ、今は実力しだいで上がれるし、給与が大幅に上がる社員も増えてきた。
電機 その一方で、年収700万円の社員でもグレードが変わらなければ上がることは永遠にないし、同じグレードの範囲内の上限の給与にとどまったままという人もいる。実際にそういう人は少なくないね。彼らに共通するのは与えられた役割をそこそここなすタイプで、新しい取り組みをしない人だ。役割を大きくするには今までの仕事の延長線上でやっていてはだめだ。やはり変革のための新しい取り組みにチャレンジし、成果を出さなければ、グレードを高めることはできない。平々凡々の生活でやりたいことだけをやっていたという人は上がらなくなっている。努力して自分の今の仕事の領域を大きくするか、あるいはもっと高いグレードのポストにチャレンジして這い上がるかの2つしかない。
サービス 最近は必ずしもライン管理職にならなくても、専門性を極めたプロフェッショナル社員に高給で報いるという仕組みを導入している企業もあるが、実際にどうなのかな。高い社員はいる?
IT 確かにライン職ではなくても高いスペシャリティを持った専門職なら、部門長クラスと同じ最高位のグレードに上げて、給与も上がる仕組みはあることはある。でも実際、会社はラインで動いているし、マネジメント職に高い評価をつけたがる傾向があるね。本来はおかしいと思う。マネジメントといってもその会社のみに通じるマネジメントであり、プロフェッショナルではない。本当は外でも通じるプロを大事にしなければいけないと思うけど、マネジメントのほうが重用されてしまう。
電機 そう。もっと専門職やスペシャリティを持った人材を大事にすべきだね。企業を変えられるのは彼らなんだ。ライン長として威張っていても、世の中で通じるかといえば疑問だ。マネジメントとしてのスキル、ノウハウがとても外で通じるとは思えない人も結構いる(笑)。
この点だけは旧日本型の組織論から抜け出せていないな。
溝上 憲文
ジャーナリスト
みぞうえ・のりふみ●1958年、鹿児島県生まれ。明治大学政経学部卒業。経済誌記者などを経て独立。経営、ビジネス、人事、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍中。著書に『年金革命』『隣りの成果主義』『団塊難民』『会社を利用してプロフェッショナルになる』などがある。
武田薬品、富士通、資生堂……。経営者の知られざる素顔を描く。
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