
人事部の証言「同じ年齢で年収は2倍違う」
ここまできた!成果主義人事による苛烈な処遇の差
「(同期の間でも)すでに2倍ぐらいの格差がついている」――。多くの企業に成果主義が急速に浸透している。
ジャーナリスト 溝上憲文=取材・構成
意欲をそがない格差のつけ方とは
流通 どのくらいの格差まで認められるのかといえば答えはないし、むずかしい。永遠のテーマだね。もちろん、絶対だめなのは完全年功一本で決まるやり方。これでは社員の元気が出ないし、廃止については議論の余地はない。現状では多少、年功的な運用でやりながら格差をそれほどつけない、あるいは年功を無視しても格差を大きくつけるというやり方もあると思うが、どっちがいいかとなると、その企業や業界によって異なるだろうね。
IT 格差といってもうちは同じグレード内での格差もあれば、グレード間の格差もある。それを丁寧につくり込んでいくと、人件費の制約などもあり、下の社員と最高位の社員の格差というのは仕組み上あまりつけられない。もちろん業界によって社員自体の給与が高く、部門長クラスの社員で2000万~3000万円も出せるところであれば別だけどね。問題は運用により、評価のメリハリをつけてガクンとグレードを下げたり、あるいはアップすることで格差をつけることぐらいでいいのではないか。
サービス ある程度格差は必要だと思うが、やりすぎるとどうしても自分の目先の利益だけを追い求める傾向がある。評価の仕方も重要であり、単に業績数値などの定量面だけで評価すると、極端にいえば法律に触れてでも数字を出すことに血道を上げかねない。今期だけでよく、来期、再来期はどうでもいいとなると会社としては困ったことになる。つまり定量だけではなく、定性的評価もちゃんとする必要がある。それから本人自身の評価だけではなく、組織の評価も大事だ。本人が組織にどれだけ貢献しているかという評価。完全な個人プレーにしてしまうとだめで、バランスが重要だ。
流通 同じぐらいの年齢でも役員は別にして、従業員で下が1000万円、上が2000万円というのはちょっとやりすぎという感じもしないではない。
IT 給与水準が高い業界は格差も大きくつけられるが、メーカーレベルではせいぜい2倍程度が限度だね。
化学 要は成果主義や格差というより運用の問題だ。部下にとって上司がちゃんと自分を見てくれているし、褒めてくれるし、叱ってもくれるという信頼関係が基本。たとえその年に最大限頑張って2000万円もらっても、次の年に普通に頑張ったら1000万円になったというような制度で社員が燃えるかといえば、燃えるわけがない。やはり組織長に本当に人を育てようという気がない限り、格差をつけるのは逆効果だと思うね。
溝上 憲文
ジャーナリスト
みぞうえ・のりふみ●1958年、鹿児島県生まれ。明治大学政経学部卒業。経済誌記者などを経て独立。経営、ビジネス、人事、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍中。著書に『年金革命』『隣りの成果主義』『団塊難民』『会社を利用してプロフェッショナルになる』などがある。
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