職場の人間関係学
2008年 10月 13日

既得権益を壊す「宝塚式」人事戦略

新しい技術がどんどん開発され、ビジネス環境もスピードを増して変化していく。

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例えば、企画力に自信を持っていたのに力が認められなかった場合、潜在能力はあるが、環境がよくなかったとも考えられる。そんなときには、自分の適性について3回チャレンジして結論を出すといいと思う。2回目に、同じ業務を違うメンバーと組んでやってみてそこでも成果を出せなかったら、自分の能力に問題があるという可能性を疑ってみる。3回目も結果を出せなければ、確実に自分の能力に問題がある。そこで、初めて「自分には企画の仕事は向いてない」と結論を出すべきである。自分は企画に向いている、企画力があると思い込んでいたがそうではなさそうだということに納得してから、今後のことを考える。安直に結論を出してしまうと、キャリアの本質を見失いかねないので気をつけたい。

人にはそれぞれ独自の存在意義がある。自分の存在意義は自分自身で見つけて、達成しなければならないものだ。自分の関心は何か、どんな能力に秀でているのかを知るためには自ら動いて探すことが第1だ。

企業で働くことは、自分の存在意義を見いだし、それを高め、社会に貢献する1つの手段にすぎない。自分の存在意義を見つけるプロセスを全面的に企業に依存し、指示されたことに不平・不満だけを並べているとしたら、それはお門違いである。

人材の新陳代謝が求められるようになった時代に、組織の一員として働く若手にぜひ意識してほしいことがある。それは「どの部署の、どんなポジションにいようとも自分たちは仕事の中心を担っている」ということだ。

若手と話をしていると、「今の勤務先の価値観は自分の志向と合わないが、だからといって勤務先を変えても同じだろう。それなら転職せずに今いる組織の中でもう少し力をつけリーダーと呼ばれるようになってから、企業の価値観を変えよう」と言う人が非常に多い。そういった人たちには「時間を決めて、このときまでに自分はこれをやってみる。それでも状況が全く変わらなかったら次に行くと、期限を決め、次の行動に移る決意をしておかないとダメだよ」とアドバイスしている。

新しいことにチャレンジするのは、エネルギーも体力もいる。「まだまだ」と言っていると、あっという間に年齢を重ねてしまう。また同じ場所にいると既得権益がだんだん増えてくるものだ。失うものが大きくなると、容易に足が抜けなくなってしまう。

小規模でも自分で仕切れる仕事があれば、進んで改革してほしい。リーダーにならなくてもできることはたくさんあることに気づくはずだ。

一例を挙げるなら、「所属する事業部門の目的は何か」「その中で自分たちの部署はどういう役目を果たすのか」「自分がどういう活動をすれば、事業が上手く運び、会社の最終目標を達成できるのか」「プロジェクトを成功させるために、長は何をすればいいのか。その長を支えるために自分は何ができるか」を考え、考えたことを実行する。そのようにして力を発揮すれば、会社全体がよくなる。企業は、組織力で勝負するもの。全社員が、常にリーダーであり同時にフォロアーなのだ。 

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プロフィール

石倉 洋子

一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授

いしくら・ようこ●上智大学外国語学部英語学科卒業。フリーの通訳等を経て1980年、バージニア大学大学院にてMBA取得。85年日本人女性として初めてハーバードビジネススクールの経営学博士号(DBA)取得。マッキンゼー・アンド・カンパニー、青山学院大学勤務を経て現職。

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