
定年後まで「陳腐化しない」キャリアのつくり方
「自分のキャリア」50%上方修正計画【1】
なかなか掴みづらい自分のキャリア……。どうしたら目標を見つけられるかなど、会社任せではない職業設計の方法を紹介する。
リクルートワークス研究所 所長 大久保幸夫/荻野進介=構成
筏下りと山登りでキャリアをデザイン
それでは、キャリアデザインの描き方の全体像について説明していこう。
私は、社会に出て10年から15年くらいは“筏下り”の時期だと思っている。自分が向かっている先は見当もつかないが、荒波にあおられて転覆しないよう、筏をうまく操りながら、目の前の急流や岩場を次々に乗り越えていく。出会う人や仕事の偶発性に身を任せながらも、それを繰り返していくことで力をつけていくのだ。
多くの人にとっては、「筏下りを実行する川=会社」である。私は若い人には「迷ったら、激流(のような会社)を選べ」といっている。「激流」とは、社員を徹底的に鍛え、若いうちから責任のある仕事を任せてくれる、成長実感を得やすい会社のことである。
若いうちは志向が二転三転する。たとえ憧れの新聞記者になれたとしても、3日目には飽きてしまうかもしれない。そういう意味では、商社や銀行、あるいはメーカーなど、どの業種を選ぶかは大きな問題ではない。大切なのは自分を鍛えてくれる「激流」を選ぶことだ。
警戒すべきは、下積み期間が長く、新人に大きな仕事を任せず、しかも残業は少なくて私生活の時間がたっぷり取れる会社だ。そのような会社は「激流」の対極にある、流れの緩やかな「大河」といえる。同じ人が5年間過ごすのでも、「激流」と「大河」では、その後のキャリアは大いに変わってくる。
そして、30代半ばを過ぎると、筏下りの時期もそろそろ終わりを告げる。急激だった流れが緩やかになり、全力を出さなくても日々の仕事をこなせるようになる。ここでいったん立ち止まり、「これから登っていく山=自分が生涯かけて取り組む専門領域」を見定めるのだ。
そうでないと、いつの間にか川から航路の目標物のない大海原へ筏が流れてしまい、自分がどこにいるのか見当がつかなくなる。この状態をキャリア・ドリフト(漂流)という。数年かけてでも山選びを行わなければ、あなたは「漂流社員」となってしまう。
大久保 幸夫
リクルートワークス研究所 所長
おおくぼ・ゆきお●1961年生まれ。83年一橋大学経済学部卒業後、リクルート入社。99年、現在の研究所を立ち上げる。『ビジネス・プロフェッショナル』など著書多数。
武田薬品、富士通、資生堂……。経営者の知られざる素顔を描く。
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