
同社は今年4月からパート、アルバイトなどの店舗スタッフを正社員に登用する「地域限定正社員制度」を導入した。従来から契約社員の店舗スタッフを正社員に登用する仕組みはあったが、優秀な女性であっても転勤があるために応募者が少なかった。今回導入したのは転勤がなく、地域に限定した社員と位置づけることで「有能な人材にもっと活躍してもらう仕組みとして導入した」(柚木執行役員)ものだ。
導入にあたり、スキルや技能に応じて昇格・昇給していく地域限定正社員独自の賃金体系を構築。店長への昇進も可能であり、さらに地域限定正社員から転勤のある社員への道も開かれている。同社には店舗のパート、アルバイトの総数が約2万人いるが、うち5000人のフルタイム勤務者を2年かけて順次地域限定正社員に移行していく計画である。
正社員、地域限定正社員、パート、アルバイトといった多様な雇用形態を抱える流通業にとっては、個々の従業員の役割に応じた能力をいかに開花させ、戦力化することが人事戦略上の最大の課題といえる。同社の取り組みは、正社員に限らず、従業員個々のモチベーションを刺激する多様なチャンスを提供することで個人の成長を促そうという好個の事例といえるだろう。
溝上 憲文
ジャーナリスト
みぞうえ・のりふみ●1958年、鹿児島県生まれ。明治大学政経学部卒業。経済誌記者などを経て独立。経営、ビジネス、人事、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍中。著書に『年金革命』『隣りの成果主義』『団塊難民』『会社を利用してプロフェッショナルになる』などがある。
武田薬品、富士通、資生堂……。経営者の知られざる素顔を描く。
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