
【人事部の告白】 激変!得する学歴、損する学歴 -1-
ニッポン「学歴社会」の現実と賢い歩き方、教えます
出身大学によって、就職、昇進・昇格は影響するのか。有力企業の人事部が学歴のウソ、ホントを明かす。(全2回)
ジャーナリスト 溝上憲文=文 宇佐見利明=撮影
流通 そうはいっても有名大学の学生が有名企業に入りやすいという構図は今も変わっていない。東一早慶の学生は結果的に有名企業に入っている。企業としても大学に入るまでの努力は評価すべきだと思うね。それをまったく考慮しないという学歴不問採用は絶対に嘘だよ。
電機 世間では学歴不問採用が流行っているが、30分、1時間の面接を2~3回やるだけではわからないよ。もちろん、今までのように東一早慶だけに偏りはしないが、学歴が大きな目安であることは間違いないし、企業から見たら安心感がある。大学に入るまでに努力して勉強したわけだし、しかもちゃんと卒業できるという人は最低限の安心感がある。ある程度採用する人間を揃えていこうと考えると、慶應義塾大のような大票田が極端に減るということは普通に採用していればまず起こりえない。
広告 確率論でもいえる。うちは筆記試験を課していて1万人ぐらい受けにくる。筆記試験の合格者を対象に面接するわけだけど、大学の偏差値とイコールで、有名校の学生が多い。でもそこから先は学歴不問かといえば必ずしもそうではない。学校をある程度見ている。そうしないと、最後に残ったのは慶大が半分だったということになりかねない。
食品 それはありうる。たとえば女性が受けにきて、この子は優秀だからいいねと選んでいけば、ほとんどが東大だったということになれば逆に困ってしまう。ある程度、社会的影響も考慮し、大学のバランスを見ながら採用している。もう1つの理由として採用は1年で終わりではないし、いろんな大学から、まめに採っておかないと、先輩がいないから受けにいかないということもある。
電機 うちも筆記試験合格者の比率は有名校が多いし、合格者の多いところが最終的に内定者も多くなる。東大、慶大の採用者が多いのは、筆記試験合格者の母数が多いからなんだ。たとえば東大にしても筆記試験の受験者は少ないが、合格率は他の大学に比べて圧倒的に高い。筆記試験科目は英語を含む外国語と国語、理数系の科目だけど、受験勉強とまったく同じ科目ではないが、ひらめきとかの地頭のよさも試される。最終的に総合点で決まるが、科目の最低点をクリアしないといけない。結果的に全体の合格率は50%以下だね。もちろん、東大でも落ちる学生はいるからね。
化学 正直言って筆記試験は大事だよ。うちは最初面接して、いいなあと思う学生に筆記試験をやらせているが、それでも満足に字が書けない学生がいる(笑)。まあ6割ぐらいの点数は取ってほしいと思うけど30点以下だとがっくりくる。仮にも就職しようというなら当然試験があるのはわかっているはずだが、やさしい試験でも落ちる学生は必ずいる。
広告 日東駒専の学生でもいい学生は採りたいけど筆記試験をやると落ちる確率がどうしても高くなってしまう。たとえば東大の合格率が70%であるとすれば日東駒専は10%以下になる。
溝上 憲文
ジャーナリスト
みぞうえ・のりふみ●1958年、鹿児島県生まれ。明治大学政経学部卒業。経済誌記者などを経て独立。経営、ビジネス、人事、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍中。著書に『年金革命』『隣りの成果主義』『団塊難民』『会社を利用してプロフェッショナルになる』などがある。
武田薬品、富士通、資生堂……。経営者の知られざる素顔を描く。
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