実践ビジネススクール
2008年 11月 17日

大前研一|「史上最大の金融危機」これが世界を救う方法だ!

大前研一の日本のカラクリ

「アメリカ発金融危機」は全世界へと波及した。いま打つべき最善の手は何か。ずばり提言する。

なぜ「信用収縮」が起きてしまったか

そもそも金融危機には、3つのフェーズがある。

フェーズ1は「流動性危機」。日本の金融危機では、短期のインターバンク市場から資金を調達できなくなった山一証券や三洋証券の破綻・倒産パターンがそれだ。

フェーズ2は、不良債権処理に伴う「資本の危機」。資産処理をしていくうちに、貸付先が不良債権化するなどして資本が食われて債務超過、ひいては倒産に及ぶ。日債銀や長銀や拓銀などの破綻劇がこれに当たる。この段階で政府が不良債権の買い取りや資本の注入をやるのは有効である。ポールソン氏は、明らかにこの第2フェーズの仕掛けをまだ第1フェーズにある現段階で導入してしまっている。

そしてフェーズ3は、金融機関の貸し渋りによる「事業会社の危機」。日本でも銀行の貸し渋りや貸し剥がしで多くの事業会社が潰れた。

金融危機とは物理現象であり、必ずこの順番でフェーズが訪れる。逆に言えば、この順番でフェーズを起こさないと、心理的問題が発生して収拾がつかなくなるのだ。

日本の場合、金融危機の3つのフェーズを抜け出すまでに15年かかった。長い時間をかけながら、曲がりなりにもそれを可能にしたのは、日本人の異常なまでの忍耐強さである。300兆円もの犠牲を払ったにもかかわらず、いまだ多くの日本人は利息をまともに払わない銀行にお金を預けている。

だが、アメリカは違う。政府・金融機関のイカサマに耐え、いつ実現するかもわからない雪解けをじっと待つことなどアメリカ人には絶対に不可能だ。利に敏い彼らは瞬時に動く。だから政府は俊敏に判断して、フェーズを間違えないよう施策を打たなければならない。ところが政府がハチャメチャな対応をしてアメリカ全体がパニックに陥っているから、本来なら5年後に起きるはずのフェーズ3、クレジットクランチがもう始まってしまっている。

アメリカは完全に順序と規模測定を誤っているのだ。混乱はしばらく拡大し、クレジットやローンの縮小で経済は大幅に落ち込むと予想される。

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プロフィール

大前 研一

ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長

1943年、北九州生まれ。早稲田大学理工学部卒。東京工業大学大学院で修士号、マサチューセッツ工科大学大学院で、博士号取得。日立製作所を経て、72年、マッキンゼー&カンパニー入社。同社本社ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任し、94年退社。現在、自ら立ち上げたビジネス・ブレークスルー大学院大学学長。近著に『ロシア・ショック』『サラリーマン「再起動」マニュアル』『大前流 心理経済学』などがある。 >>大前経営塾

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