実践ビジネススクール
2008年 11月 17日

大前研一|「史上最大の金融危機」これが世界を救う方法だ!

大前研一の日本のカラクリ

「アメリカ発金融危機」は全世界へと波及した。いま打つべき最善の手は何か。ずばり提言する。

金融危機が飛び火したイギリスでも、サイバー上の静かな取り付け騒ぎが起きていて、アイルランドの銀行への資金流出が止まらない。アイルランドの銀行は預金を全額保証しているからだ。皮肉なことにイギリスで最初に破綻したのはノーザン・ロックという銀行だが、国有化されたことでいまや預金者が殺到している。

いずれにしてもフェーズ1では、流動性がなくなって銀行がガス欠状態に陥っているのだから、全銀行に対して無限の流動性を給油するガスステーションを設置することが重要なのだ。

そのうえで銀行には「給油したいだけ給油しなさい。預金を引き出したい人が引き出すのは仕方がないから、落ち着いて仕事をして、いい資産と悪い資産とを分けて、いい事業に経営を集中しなさい」と促し、国民に対しては「銀行には無限の与信をしているし、預金保険制度の枠でも保護するから、慌てて預金を移さなくても大丈夫」とメッセージする。

これは90年代にスウェーデンが金融危機に陥ったときに採られたエマージェンシールーム(ER)方式だが、ここまでやれば流動性危機による銀行倒産はほとんどなくなるはずだ。

流動性を確保するためには巨大な資金が必要となる。不良債権を買い取るだけなら75兆円くらいでいいかもしれないが、無限の流動性を提供するとなると全然足りない。では、どれくらい必要か。日本では銀行が不良債権を処理して危機を脱するまでに、本来国民に支払われるべき利息300兆円が使われた。アメリカなら500兆円規模の資金が必要だろう。

それだけの資金をアメリカ単独で捻出するとなれば、輪転機を回し続けて国債を発行しなければならない。しかし、ただでさえ乱発気味の米国債をさらにバラまいたらどうなるか。米国債は世界中に散らばっている。最も多く持っているのは日本と中国と中東湾岸諸国。それにロシアとEU諸国。日本が保有している米国債は120兆円は下らない。

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プロフィール

大前 研一

ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長

1943年、北九州生まれ。早稲田大学理工学部卒。東京工業大学大学院で修士号、マサチューセッツ工科大学大学院で、博士号取得。日立製作所を経て、72年、マッキンゼー&カンパニー入社。同社本社ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任し、94年退社。現在、自ら立ち上げたビジネス・ブレークスルー大学院大学学長。近著に『ロシア・ショック』『サラリーマン「再起動」マニュアル』『大前流 心理経済学』などがある。 >>大前経営塾

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