
大前研一|「史上最大の金融危機」これが世界を救う方法だ!
大前研一の日本のカラクリ
「アメリカ発金融危機」は全世界へと波及した。いま打つべき最善の手は何か。ずばり提言する。
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長 大前研一/小川 剛=構成 宇佐見利明=撮影 AP Images=写真
リーマン・ブラザーズの破綻から一気に顕在化した「アメリカ発金融危機」は、瞬く間にヨーロッパに飛び火し、全世界へと波及した。その影響は、金融機関のみならず事業会社をも直撃、すでに大恐慌の兆しすら感じられる。いま打つべき最善の手は何か。ずばり提言する。
アメリカ発金融危機の本質とは何か。それはウォール街発の「金融サイバーテロ」であり、「中性子爆弾」による地球規模の大量破壊である。何も起こっていないようで、実は気がついたときには皆が死に至っている……からだ。
その衝撃は、2001年の「9・11テロ」を凌駕する。9月のリーマンショック以後の金融危機で失われた世界の富は、株式の時価総額で3300兆円に達している(10月末時点)。ワールドトレードセンターが1棟5000億円で建つとすれば、ざっと6600棟分。わずか3カ月のことなので、1日に73棟が連日崩壊したことになるのだ。
金融工学を駆使して小口債券化を行い、保険会社に支払いを保証してもらってドレスアップし、それを格付け会社がトリプルAとして世界中に売る、という行為は、まさに炭疽菌やメタミドホス入りの金融商品を世界中に撒き散らしたに等しい。
金融危機の起爆装置のスイッチを押したのもアメリカなら、いま危機への対応能力のなさ、泥縄式の対策で混乱の輪を広げているのもアメリカだ。ブッシュ大統領は就任以来「悪の枢軸」とか「テロとの戦い」という政策を世界中に押しつけてきたが、いま世界は「ウォール街発の金融テロとの戦い」で危機に瀕している。アメリカからの謝罪は一度も聞かれない。
日本やヨーロッパは1990年代に金融危機を経験した。そうした教訓が少しは生かされてもよさそうなものなのに、アメリカは「日本の轍は踏まない」と言いながら、信じられないように同じ轍にはまりこんでいる。このままいけば、アメリカも日本と同じように3~4行のメガバンクが跋扈する悲惨な状況となる。
大前 研一
ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長
1943年、北九州生まれ。早稲田大学理工学部卒。東京工業大学大学院で修士号、マサチューセッツ工科大学大学院で、博士号取得。日立製作所を経て、72年、マッキンゼー&カンパニー入社。同社本社ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任し、94年退社。現在、自ら立ち上げたビジネス・ブレークスルー大学院大学学長。近著に『ロシア・ショック』『サラリーマン「再起動」マニュアル』『大前流 心理経済学』などがある。 >>大前経営塾
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