
【2】新・節約マダムが教える「出費半分幸せ2倍」の道
さらばケチケチ道。「ローコストライフ」の神があなたを元気にする
水道代を浮かすため公園で水を汲む、スーパーで野菜の切れ端を拾う……。そんな貧乏臭い“技”はもう古い。
ノンフィクションライター 山田清機=文 向井 渉=撮影
「なにしろ買い物は週1回ですから、メニューを考えずに、その都度、安くていい食材を買うんです。それを7日間で使い切るように工夫しながら料理をつくります。そうすると、できちゃうんですよ」
隣で編集者が「トヨタ式」とつぶやいた。トヨタでは予算を組む際、何にいくらかかるかを積算していくのではなく、先に予算枠を決めてしまい、その枠内で何ができるかを考え抜くのだという。
「だから、子供たちからハンバーグ食べたいとか言われると困っちゃう。逆に私のほうから、豚肉のブロックがあるけど、これで何つくろうかって聞くんです(笑)」
和田さんの節約は万事この調子だが、家電製品の買い方を聞くと、和田さんの節約思想が一層明確になってくる。
和田さんは家電を買い替える際、エコマークのついた家電を買うよう心がけている。当然、電気代や水道代の節約に役立つが、省エネ家電は一般の家電より数倍高い。寿命までに元が取れるかどうか微妙だ。だが、和田さんはコストパフォーマンスにあまり頓着していないのである。いま、目の前で電気や水がムダに使われていないこと自体が、嬉しいのだ。
「1週間の食材も同じことです。最終日にすべての食材をきれいに使い切ったときには、思わずヤッターって叫びたくなるような達成感があります。その達成感を味わうことが、何より嬉しいんです」
かつてわが国の主婦たちは、「始末する」という言葉を「ムダなく使い切る」という意味で用いていた。和田さんは出費に枠をはめることによって、限られたリソースを味わい尽くすという「始末」の精神を復活させているのではないか?
始末の精神は、もっと稼がねば、もっと生活レベルを上げねばという焦燥感の対極にある。和田さんのお宅に漂う幸福感の秘密は、このあたりにあるようだ。
山田 清機
ノンフィクションライター
やまだ・せいき●1963年、富山県生まれ。87年早稲田大学政治経済学部卒。大手鉄鋼メーカー、出版社勤務を経て独立。主な著書として『青春支援企業』『卵でピカソを買った男』。
武田薬品、富士通、資生堂……。経営者の知られざる素顔を描く。
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