社長の仕事術
2008年 11月 20日

一流トップの学び方:本田技研工業 福井威夫社長

進んで「修羅場」に身を置く

大企業病が蔓延する。そうならないよう、社員をいかに修羅場に追い込んでいくか。

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ものごとの本質を真面目に議論する

ホンダは今、アメリカで悲願の小型ビジネスジェット機の事業を進めています。機体もエンジンも自社開発。前例のない組み合わせを実現した「ホンダジェット」は2003年の航空ショーでデビューすると、3日間で100機以上を受注。再来年からアメリカの空を飛びます。

「空飛ぶシビック」――手軽で快適な小型ジェット機をつくるという構想のもと、技術がゼロの状態から研究に着手したのが86年。全米有数の航空学科を持つミシガン大学へ、若い5人の社員を送り出し、共同で試作機をつくりながら開発を進めたのも、ホンダらしく、現場で現物を通して学ぶためでした。

機体のデザインは主翼の上にエンジンを置く。本社サイドで開発打ち切りも検討される中、担当者は業界の常識を打ち破る方式を考え出します。

エンジンを胴体の両脇に固定する通常の小型ジェット機と異なり、胴体内の支持構造が不要なため、室内空間が3割も増大する。ホンダがつくる以上、燃費向上が必須であり、それには小型化と広い室内を両立させなければならない。その難題を解決するため、生まれたのが常識破りの独創的なエンジン配置でした。

その方式は以前、海外の航空機メーカーが試したことがあり、空気抵抗が大きく、業界では本来、「失敗例」として学ぶものでした。しかし、本当に根本的な失敗で先へ進めないのか。担当者は諦めずに実験を繰り返し、エンジンを主翼の上のある一点に置くと逆に空気抵抗が格段に減少する“スイートスポット”をついに見つけ出したのです。

困難な課題、打ち切りを検討する本社、冷ややかな同業者の目線。担当者にとってまさに修羅場の連続だったでしょう。だから、迷路の行き止まりに見えても徹底的に解析し、突破口を探り当てた。

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