お金・給料の新常識
2008年 11月 26日

世界を直撃!「金融危機」で家計はどうなる

不景気を感じさせるニュースが増えれば不安感が増し、必需品の購入すら手控えムードへと、状況は一層悪化する。

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サブプライムローン問題に端を発した世界金融危機。欧米では大手金融機関への公的資金注入や協調利下げなど、混乱収束に向けた施策が行われている。各国の迅速な対応で、リーマン・ブラザーズ級の大手金融機関の破綻は、ひとまず回避されたとみていいだろう。

米証券大手のゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーは、レバレッジ(てこの原理)をきかせて資金の何倍もの投資を行ってきた。しかし銀行に業態転換したことで、今後は自己資本比率8%以上を保つというBIS規制が課せられる。このルールを守るには増資を行うか、貸し剥がしなどを行うしかない。現在はその両方が行われ、資金引き揚げに対応するため、ヘッジファンドでは保有している株式や原油、穀物といった商品の投げ売りが行われている。これが世界中の株式市場を混乱に陥れたのである。

世界第2位の市場規模を誇る日本の株式市場は、市場規模が大きい分、流動性が高く売買がしやすい。そんな要素も手伝って、日本株の株価はとくに大きく乱高下する様相をみせている。

世界では実体経済への影響を注視しているが、最大の焦点は「欧米がデフレに突入してしまうかどうか」だろう。デフレという最悪のシナリオになれば、混乱は長期化する。すでにデフレ回避のために各国が協調利下げに踏み切っているものの、現状では景気後退を示すデータが次々と発表されている。

マーケットが堅調な時期には、投資資産の含み益が高額商品の購買力につながるが、含み損が生じると高額商品が売れなくなる。これが逆資産効果である。

一般的にはクルマや電気製品の買い替えなど、生活必需品とは異なる消費が景気のエンジンとなるが、現在はそのエンジンが故障している状態。不景気を感じさせるニュースが増えれば不安感が増し、必需品の購入すら手控えムードへと、状況は一層悪化する。つまり投資している人には直球で、投資していない人には緩いカーブで、誰もが少なからず影響を受けることになる。

欧米の消費低下は、輸出大国である日本はもちろん、中国、インドなどの新興国の企業業績にも影響する。

すでに輸出産業は厳しい局面にある。自動車を例にしても、国内では高齢化により運転する人口が減っていくうえ、若者のクルマ離れに歯止めがかかっていない。外需が弱含みになると、たちまち影響が出る。外需頼みで、内需活性に繋がる政策を打ち出してこなかったツケが回ってきたということである。

2兆円規模の定額減税も検討されているが、景気後退で国民のサイフの紐は固くなっており、必ずしも消費に回るとは限らない。貸し剥がし、貸し渋りによる黒字倒産も懸念される。財政の問題はあるものの、設備投資がしやすくなるような施策を講じるなど、企業活動を活性化させる前向きな方策が効果的だと考えられる。中小企業に対する時限的な法人税軽減も、実現が望まれる。

直近に迫ったこの冬のボーナスは、残念ながら多くの人にとって期待しにくい水準になるだろう。定期昇給を抑え、業績をボーナスに反映させる傾向が強まっている分、景気が与えるボーナスへの影響は大きい。すでに来年度の採用人数を減らす企業も出ており、転職も厳しくなる。今年前半は原油高による値上げが「家計支出」を直撃したが、後半は「家計収入」に影響するといったところだ。

逆に考えれば、この混迷期は一発逆転の機会ともなる。業績悪化で仕入れ先を見直すことになる企業があれば、納入業者にとっては新規参入のチャンス。また中小企業にとっては優れた人材を確保できる可能性も出てくる。高騰していた原油の値下がりでガソリン価格が下がる、円高・ユーロ安でブランド品や高級時計、ワインなど欧州製品の価格が下げ兆候にあるなど、悪いことばかりではない。

プロフィール

深野 康彦

ファイナンシャルプランナー

ふかの・やすひこ●1962年生まれ。独立系FP会社などを経て、2006年ファイナンシャルリサーチ設立。著書に『家計崩壊「見えないインフレ」時代を生きる知恵』。

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