
“ヒラリー国務長官”がオバマ政権のアキレス腱?
堀田佳男の「2008アメリカ大統領選ウォッチ」 第11回
「オバマ次期大統領はグッドリスナー」……ワシントンの政界に通じる旧友と電話で話をしていると、思わぬことを口にした。
文=堀田佳男
クリントン政権からの「返り咲き」目立つ新閣僚
「オバマ次期大統領はグッドリスナー」
ワシントンの政界に通じる旧友と電話で話をしていると、思わぬことを口にした。
オバマ氏は上院議員に当選した4年前からハート議員会館にオフィスを構え、スタッフとのミーティング時には常に周囲の声に耳を傾けてきたという。大勢のスタッフが参加する場合はソファに寝そべって目をつぶり、静かに聴いている。そして必ず参加者全員に話をさせたあとで自分の意見を述べるという。
その話を聞いて、フト思い当たったことがある。
「ビル・クリントンと一緒だ」
クリントン大統領がホワイトハウスで寝起きするようになった93年以降、同大統領は実に多くの専門家をホワイトハウスに呼び寄せた。特にレーガン・パパブッシュ両政権で膨らんだ巨額の財政赤字を解消するため、たくさんのエコノミストを招いた。さらに不得手の外交政策でも専門家からブリーフィングを受けて浴びるように違う意見を聴いた。
オバマ次期大統領のスタンスも似ている。金融・外交の専門家でないオバマ氏は、プロの意見を聴かざるを得ない。それは今後、いい意味での柔軟な政策の転換を意味する。 選挙中は典型的な民主党リベラルの政策を押し出していたが、当選後の言動を見ると、中道派へ寄り始めている。このあたりもクリントン大統領と同じだ。
さらに、オバマ次期政権のこれまでの閣僚(予定も含む)の顔ぶれをみると、クリントン政権からの「返り咲き」が実に多い。まず首席補佐官のラーム・エマニュエル氏は、92年のクリントン大統領の大統領選から補佐役として汗を流した人物で、のちに下院議員になった現場第一主義の叩き上げ政治家だ。
さらに国務長官にはヒラリー・クリントン氏、財務長官にはやはりクリントン政権時代からの腐れ縁であるティモシー・ガイトナー氏、さらに司法長官にはクリントン政権時代の司法副長官だったエリック・ホールダー氏を、財務長官だったラリー・サマーズ氏はホワイトハウス国家経済会議(NEC)委員長に据えられた。
堀田 佳男
1957年東京生まれ。早稲田大学 文学部を卒業後、ワシントンDCにあるアメリカン大学 大学院国際関係課程修了。大学院在学中に読売新聞ワシントン支局で1年間助手を務める。卒業後、米情報調査会社に勤務。アメリカの日刊紙の日本語ダイジェストの執筆・編集に携わる。永住権取得後、1990年に会社を辞して独立。以来、ジャーナリストとして政治、経済、社会問題など幅広い分野で精力的に執筆活動を行っている。25年の滞米生活後、2007年春帰国。
著書に『大統領はカネで買えるか?』(角川新書)『大統領のつくりかた』(プレスプラン)など。
武田薬品、富士通、資生堂……。経営者の知られざる素顔を描く。
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