
故郷の友人を信じ、起業に夢を託した50代経営者が家を失った理由とは
ルポ!「人生の選択」笑うアリvs泣くキリギリス【元社長は流浪の「ネットカフェ難民」】
若い頃は生活も安定、結婚して子どもにも恵まれ幸せな人生から一転、利用され借金を背負わされることになってしまった。
文=桐山秀樹 撮影=内山英明
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元経営者だった山本さんの現在の住まいは、ネットカフェの一室。他の常連客とも話すことはなく、体を伸ばして寝ることもできない。少し余裕のあるときは、1日2000円程度のサウナに泊まることもある。
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夜9時~朝まで働いて、近くのネットカフェかサウナで寝る。もう2年半、そんな生活を続けているという中年「ネットカフェ難民」、山本広大さん(仮名、50歳)。もともと夜の世界の住人ではなかったが、今はある事情から仮名で東京・蒲田のスナックに勤めている。給料は日払いで1日1万円だが、3食外食だからほとんど手元には残らない。今回の取材にあたって本名を名乗った山本さんは、「この名を口にするのは4年ぶり」と話す。
「カードも銀行口座も、住民票もなく、自分が存在する痕跡を残せない状況。けれど、取材を受けたのは自分の状況を誰かに話したかったから……」
山本さんは東京生まれ。大手デベロッパーの下請けで技術業務を受け持ち、若い頃は生活も安定、結婚して2人の子どもにも恵まれ幸せな人生だった。
そんな中、数年前に一念発起し、母の実家がある東北の主要都市で個人事務所を立ち上げることに。技術知識や営業には自信があるが経理は素人だったため仲間を探した。そんなとき、地元で知り合った友人のグループが全面協力を約束。母の故郷という安心感もあり、勧められるまま金をかき集めて起業したが、逆に利用され借金を背負わされることになってしまったのだ。
「後からわかったんですが、そいつらは実はヤクザで、最初から私をハメるつもりだったんです。開業資金はすべてヤツらのフトコロに入りました」
東京の知人、ノンバンクなどから借りた1000万円近くの金はすべて山本さんの負債となり、取り立ては子どもの学校にまで及んだ。妻とも離婚し、今、家族とは連絡がとれない状態だ。
「もし居場所がばれれば、自分だけでなく家族に危害が加えられるかもしれないし、負債を肩代わりしてくれた人にも顔向けできない。だからここで偽名での暮らしを続けてるんです」
詐欺にあった直後、父も病死。不運に不運が重なり、1年ほどで何もかもを失った山本さんはある決意をした。
「自分を騙したヤツらを全員殺す、という結論にたどり着いてしまった」
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