
蝶の楽園石垣島で夫婦そろって心から楽しむセカンドライフ
ルポ!「人生の選択」笑うアリvs泣くキリギリス【男54歳、離島で「蝶々博物館」に賭ける】
早期退職制度を使って職をいきなり捨て去り、石垣島に移住した夫妻にかつての生活への未練など少しもない。
文=吉村克己 撮影=秋山忠右
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入野さんは1953年、栃木県宇都宮市生まれ。東京電機大学卒。75年、日本電信電話公社(技術系)入社。同年、同郷の妻と結婚。2003年3月、日本電信電話退社。同年4月、石垣市へ移住。
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沖縄県八重山諸島最大の島、石垣島はいま移住者ブームだ。年間5000人ほども移住するが、そのうち4000人は本土に戻るという。安易な移住に地元から批判の声も上がる。
入野祐史さん、君江さん夫妻は2003年4月に石垣島に移住した。島随一の景観を誇る川平(かびら)湾を見下ろす土地に200坪の土地を購入し、蝶のプライベート博物館「蝶館・カビラ」を併設する自宅を建てた。ブームに乗った移住とは違い、ここを終の棲家と決めている。入野さん夫妻が石垣島を選んだ理由は明確だ。“蝶”である。
「ここは(蝶マニアにとって)日本一じゃないですか。1年中、身近なところに、たくさんの蝶がいるんですよ」
八重山諸島は固有種の蝶が多く、蝶好きの聖地だ。小学生の頃から蝶の採集にとりつかれた入野さんにとって石垣島は楽園である。現在まで集めた標本は200種3000頭。日本には250種が存在するが、未採集の50種の多くは天然記念物で捕ることができない。この成果が蝶館・カビラに展示されている。
入野さんは03年までNTT本社で課長職を務めていた。50歳のとき、早期退職制度を使ってその職をいきなり捨て去った。人事部長が驚いて引き留めたが、その理由を聞いて納得し、社内でもうらやましがられたという。
「40歳頃から50歳になったら退職して移住しようと思っていました。ちょっと早いかもしれませんが、60歳になると次の人生がちょっと短くなりますからね。蝶とともに人生を歩みたいと思っていたので収入がなくなることも気になりませんでした」
吉村 克己
ジャーナリスト。1959年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。IT・ビジネス・経済・社会問題に関する記事を執筆。著書に『よくわかる介護・福祉業界』『全員反対!だから売れる』などがある。
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