達人のテクニック
2009年 2月 20日

なぜ「あの人」に言われたことはやりたくないのか?

特別連載:人を動かす「超具体化」コミュニケーション【第1回】―小宮一慶

人にはそれぞれ必ず「心理バリア」というものがあります。心理バリアが高いと、コミュニケーションが成り立ちません。

ビジネスにおけるコミュニケーションの目的は、相手に、自分の意図を伝え、そして自分が意図するように動いてもらうことです。話が伝わらない、そして意図したように動いてもらえないというのは、話の中身もありますが、相手の受け入れる心理状態が実は大きく影響していることをまず理解しておく必要があります。

人にはそれぞれ必ず「心理バリア」というものがあります。心理バリアが高ければ、どんな良い話でも聞いてはもらえません。

たとえば、まったく知らない人から「うまい儲け話がある」と営業の電話がかかってきても簡単には信用しませんね。それは、心理バリアがその人に対して高いからです。

Aさんに言われたら喜んでやるけれど、Bさんに同じことを言われてもやりたくないのは、Aさんに対しては心理バリアが低く、Bさんに対しては高いのです。

心理バリアが高いと、どんなに意味のあることを、わかりやすく話しても、コミュニケーションが成り立ちません。相手に「聞こう」とする気持ちがないからです。

飛び込み営業がうまくいかないのはなぜ?

心理バリアの状態は、相手の状況によっても変わります。

どんなに親しい相手でも、忙しいときに急にやって来られたら、心理バリアが高くなります。特に飛び込み営業は、知らない相手ということもあり、もともと相手の心理バリアがきわめて高いうえに、相手が多忙だった場合は、それがさらに高くなって、どんなにいいことを言っても聞く耳を持ってもらえません。アポを取ってから行けば、相手の心の準備も違います。

タイミングに加えて、服装も大事なポイントです。

普通のビジネスの打ち合わせに、相手が麦藁帽子にTシャツ、短パン姿でやって来たら、「この人なんなの?」と思いませんか。どんなに馴染みの相手だったとしても、ここで一気に心理バリアが高まります。

人によって服装に対する感じ方、考え方は異なりますから、相手のことが十分に分からない場合には、無難な格好をしていくことが大切です。

私の場合は、その日にお会いするお客様を考えた上でスーツやシャツ、ネクタイを決めます。地味な感じのメーカーさんの会議なら地味目な服装を、アパレル関連なら、少し派手目にしたりします。

講演でも聴衆がどういう人かを考えます。銀行の取引先社長の集まりでの講演ではオーソドックスなスーツを選びますが、若い人向けの講演ではスーツでなく、ジャケット、場合によってはノータイにすることもあります。

テレビ出演なら、その番組の内容や隣に座る人の衣裳の傾向を考えてそれに合った服装を選ぶようにしています。複数の訪問先がある場合には、どこにも合いそうな無難な服装を選びます。服装で相手の心理バリアをあえて高めるのは得策ではありません。

※この連載では、プレジデント社の新刊『「超具体化」コミュニケーション実践講座』(2月20日発売)のエッセンスを<全7回>でお届けします。

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プロフィール

小宮 一慶

1957年、大阪府生まれ。81年、京都大学法学部卒業後、東京銀行入行。86年、アメリカのダートマス大学経営大学院でMBA取得。帰国後、経営戦略情報システム、M&A業務に携わったのち、岡本アソシエイツ取締役に就任。国際コンサルティングを手がける。93年、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。94年より、日本福祉サービス(現セントケア)にて、在宅介護問題に取り組む。96年、小宮コンサルタンツを設立。コンサルタント、非常勤取締役、監査役として企業経営の助言を行うほか、講演、著書を通じてビジネスマンに必要な基本スキルについて、わかりやすい言葉で指南している。明治大学大学院会計専門職研究科特任教授。近著に『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』(ディスカヴァー21)、『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』(ディスカヴァー21)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』(東洋経済新報社)、『お金を知る技術 殖やす技術』(朝日新書)などがある。

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