職場の人間関係学
2009年 2月 23日

「考える部下」をつくる質問のコツ

一人ひとりが考えて動ける組織をつくるために、コーチングをどう活かせばよいだろうか。

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コーチングを受けることで部下を導く自信をつけた女性部長と、プレーイングマネジャーから、究極のゼネラリストに変身した製薬会社社長を紹介する。一人ひとりが考えて動ける組織をつくるために、コーチングをどう活かせばよいだろうか。

孤軍奮闘の女性部長が「伴走型リーダー」に

日産自動車の原田利恵子氏は、1980年の入社以来、一貫して企画畑を歩んできた。オーストラリア市場を担当し、ピックアップトラックのシェアを広げるなど能力が認められ、2004年、企画部門から一転、国内営業部門の店舗運営支援部の部長となった。

ところがここで原田氏は大きな壁にぶち当たった。一挙に50名の部下を持つことになったが、多岐にわたる業務内容を理解し、遂行するのに精いっぱいで、トイレに立つ時間もとれない。常に社内を走って次のアポイントへと向かうような状態だった。組織を率いていくべき立場にありながら、それが実行できず、部下から「部長が物事を決めてくれない」「部長と打ち合わせしたくてもスケジュールがとれない」というような不満が噴出してしまったのである。

問題は山積みで、何から手をつけていいかわからない。思い悩んで社内のキャリアコーチに相談したところ、コーチ・エィの齋藤淳子シニアエグゼクティブコーチを紹介された。

創造的な人材を求める企業において、近年取り入れられている手法が「コーチング」である。人がどのような動機をもとに行動を起こすかに注目し、その人の本質的価値を徹底的に洗い出したうえで、目標に向けての行動を促していく双方向のコミュニケーション・プロセスだ。師と徒の関係にあるティーチングと異なり、コーチと主体者(クライアント)は主従関係になく、答えは主体者が自らの力で導き出し、コーチはそれを応援する立場にある。たとえるなら、ランナーと伴走者といったようなイメージだ。

コーチングの流れは、基本的に次の5つのステップからなる。

(1)現状の明確化
  (2)望ましい状態の明確化
  (3)現状と望ましい状態のギャップを引き起こしている理由と背景の発見
  (4)行動計画の立案
  (5)フォローと振り返り

原田氏も、現状の確認を行うことからコーチングが始まった。コーチの齋藤氏は言う。

「はじめて会ったときの原田さんは、孤軍奮闘状態でした。自分で計画を練ったり、ときには資料を自分で作ったり、会議でもアイデアを提案したりと、ひとりで何もかも抱え込んで立ち往生しているように見えました」

コーチングの考え方の根底には、「人は誰でも、課題解決のための答えとなる資源をもともと備えている」というものがある。資源とはその人の本質的価値を指し、人が成長し、大きな力を発揮する源泉となる。

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プロフィール

野崎 稚恵

ノンフィクションライター、翻訳家

のざき・ちえ●1967年新潟県生まれ。青山学院大学英米文学科卒業。証券会社のディーラー、トレーダー、雑誌編集者を経て独立。経済、金融、経営分野で活躍中。翻訳本にレイ・クロック自伝『成功はゴミ箱の中に』がある。

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