
任務はBRICsを倍増!「宿敵サムスン」に挑む精鋭たち ソニー 日比賢一郎 41歳
リスクを恐れず「新たなる道」に挑む【4】
BRICsの一角、ロシアで売上高倍増を目標に掲げ、シェアNo.1サムスンに真っ向から挑む「闘魂」エリートがいる。
勝見 明=文 的野弘治=撮影
BRICsの一角、ロシア。経済発展はめざましいものの、そこでのビジネスは政府高官との関係やマフィアの存在など、力がものをいう。だが、そんな環境下で売上高倍増を目標に掲げ、シェアNo.1サムスンに真っ向から挑む「闘魂」エリートがいる。その実態は――。
ロシア攻略に闘志を燃やす師弟
「向こう3年間で売上高を倍増か……上等じゃないか。あの男ならきっとやってくれるはずだ。ソニーらしい勝ち方で」
BRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)での年間売上高を2010年度末までに2兆円に倍増させる。08年6月、ソニーのH・ストリンガー会長兼CEOが中期経営方針を発表したとき、本社グローバルマーケティング部門(GMD)のBRICs担当統括部長、筒井隆司(50歳)はロシアで苦しい日々をともに戦った一人の男を浮かべた。
「3年で2倍。ストレッチした目標だ。受けて立とう。“闘魂”の見せどころだ」
同じころ、その男は中経をモスクワの地で受け止め、闘志を燃やしていた。ロシアと旧ソ連圏を受け持つ販売会社ソニーCISの社長、日比賢一郎(41歳)だ。日比は前線に立ち、筒井は戦略と後方支援を引き受ける。この2人が出会わなければ、赤の広場近くに巨大なソニーの広告が掲げられることも、プーチンがVAIOを愛用することもなかっただろう。
ただ、そこに至るまでには、家族の身の安全も心配しなければならないほどの苦闘があった。ソニーのロシア攻略の挫折と躍進の軌跡――。開拓者精神が見事に発揮されたそのドラマをたどりたい。
第一幕の主役は筒井だ。入社以来海外営業畑を歩み、1998年5月、バブル景気のロシアへソニーCIS社長として赴任した。域内での年間売上高500ミリオンドル(約600億円 当時)を3年間で1ビリオンドル(約1200億円 同)に拡大する。それが使命だった。ところが……。
勝見 明
ジャーナリスト
かつみ・あきら●1952年、神奈川県生まれ。東京大学教養学部中退。ジャーナリストとして経済・経営分野を中心に活躍。『イノベーションの作法』(日本経済新聞出版社)、『鈴木敏文の「本当のようなウソを見抜く」』(日経ビジネス人文庫)など著書多数。最新刊は『度胸の経営』(三笠書房)。
武田薬品、富士通、資生堂……。経営者の知られざる素顔を描く。
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