
中国工場のストライキを沈静化させるには
回答者ジャック&スージー・ウェルチ
当社最大の中国工場の労働者がストライキを行いました。今後起きないようにするにはどうすればよいでしょう。
翻訳=ディプロマット (c)2007. Jack and Suzy Welch. Distributed by New York Times Syndicate.
アジアで工作機械を製造しているアメリカ企業です。先般、当社最大の中国工場の労働者が賃上げを要求してストライキを行いました。当社の賃金は周囲の他の工場と明らかに同じ水準です。今後、この問題が起きないようにするにはどうすればよいでしょう。レイ・リン(カリフォルニア州)
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この問題はそもそも何が原因で生じたのでしょうか。さらに言うなら誰が原因で生じたのでしょうか。
私の経験で言えば、地方組合の問題が発生する場合には、それが中国であれオランダであれアメリカであれ、根本的な原因は必ずと言っていいほど職場のリーダー陣にあります。
その原因をつくっているのは、たいていは1人か2人の人物です。工場長や職長が横柄な振る舞いや無神経な振る舞いをしていたり、部下をいじめていたり、情報を隠し立てしていたり、あるいはそのすべてをやっていたりするわけです。今回のケースも、基本的には、まずい経営管理が御社のストライキを招いたものと推察されます。
しかし、これは実は明るい材料です。逆のことをすれば、今後のストライキの可能性を最小限にできるからです。
もちろん中国においても、工場の経営陣と現場の労働者の意見は必ずしも一致しないでしょう。しかし、本社が工場の経営陣に2つの簡単な原則を実践させれば、組合活動はやがて沈静化していくでしょう。
1つ目の原則は、労働者は同じ仲間だということを経営陣が理解することです。労働者は同じ町に住み、同じ会社で働いています。彼らの生活や未来は経営陣のそれと分かちがたく絡まり合っており、いわば運命共同体なのです。2つ目の原則は、労働者に発言権と自尊心を持たせることです。
この2つを企業の単なるお題目に終わらせてはいけません。すべての従業員に意見を求める必要があります。とりわけ工場労働者には、彼らが会社にとって単なる労働力以上の存在であることを知らせる必要があります。
では、工場長はそれをどうやって証明するか。何よりもまず、彼らの声を聞くことです。公式の場でも、社内での何気ない会話のなかでも、彼らの声をよく聞いてください。工場長がオフィスで腕組みしたまま上から監督していることほど、従業員の怒りを買うことはありません。「下の」者たちは知っています。その工場長は彼が知るべきことの半分しか把握していないこと、にもかかわらず自分たちの何倍もの給料をもらっているということを。
工場の経営陣は、隠し立てせず、あらゆることを伝えることによって、労働者に自尊心を持たせる必要があります。最も重要なのは、交渉可能な問題とそうでない問題は何かを伝えることでしょう。とはいえ、この情報は公式の交渉の場で明かしてはなりません。本格的な紛争を招きます。
御社に必要なのは、現場の労働者と気軽に頻繁に対話する現地工場のリーダー陣です。組合をおとなしくさせるのは、信頼です。経営陣が隠し立てすることなく公正に組織を運営し、労働者がそれを知っていれば、第三者が両者の会話を仲介する必要はありません。そこには勝利のために協働する1つのチームがあるだけです。
ジャック・ウェルチ
1935年生まれ。60年にゼネラル・エレクトリックに入社。81年、同社会長兼CEOに就任。
大企業病に陥っていた同社を変革し、世界最強の企業の1つに育て上げた。
その手法と哲学は、世界中の経営者のお手本となっている。2001年に引退後も、講演・著作を通じてビジネス界の啓蒙に努める。
武田薬品、富士通、資生堂……。経営者の知られざる素顔を描く。
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