実践ビジネススクール
2009年 5月 26日

危機打開の武器「ジャパンクール」とは

日本のデザインに技術の裏打ちがあれば、ユニークな国際競争力になる

将来に自信を持てる経営者と現況におびえる経営者。どこに違いがあるのか、2人の経営者にイタリアで会ってきた。

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デザインを競争力として、先進国の繊維産業としては異例の貿易黒字をあげるイタリア。ファッション生地企業の訪問から見えた日本企業のチャンスを筆者は説く。

繊維産業に見る「技術かトレンドか」

悲観と明るさが交じった景気展望になってきた。株式市場はかなり戻し、しかしさまざまな経済統計ではまだ暗い数字が多い。それは潮の流れの転換期には当然の現象であろう。私自身の展望については、楽観派であることはすでにこのコラムで数回に亘って述べてきたので、繰り返さない。しかし、暗い状況の中でも将来に対する自信を持てる経営者と現在の状況へのおびえに支配される経営者と、どこに違いがあるのか、それをつくづく感じさせられる2人の経営者にイタリアで会ってきた。

十数年ぶりに、北イタリアのミラノ郊外の繊維産業の集積地を理科大MOTのチームでこの3月下旬に訪れた。ジェトロ・ミラノ・センターのお世話で、綿織物や刺繍の産業集積のあるガララーテと絹織物を中心とする産業集積のあるコモと、2つの隣接する地域で2つの企業を訪問し、経営者の方に詳しくお話を聞く機会を持てた。その前後に、ミラノ工科大学やパドバの企業にも訪問して、イタリアの状況を垣間見ることができた。

イタリアの繊維産地も今回の不況で大きな打撃を受けていた。受注は前年比3割も4割も産地全体では減っているという。先進国の繊維産業としては異例の大幅貿易黒字をあげるイタリアの繊維産業も、さすが今回の高級品需要も含めた世界的需要後退は痛かったようだ。

その中で、ガララーテのアスペジ社の四代目経営者は、静かな中に自信を感じさせた。他方、コモで最近伸びてきていた企業グループ(プリント以外に、染色、織物などの工程をグループ内に持っている)の創業経営者は、困り果てた様子を見せていた。ともに、自分のコレクションとしての布地の自社ライン製品を100近く、毎年出している。そして、自分のコレクション以外に大手のファッションメーカーから依頼された特注品の生産もやっている。売り上げ規模も似ているし、その売り上げの中での自社コレクションの比率も約半分程度、と似ていた。

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プロフィール

伊丹 敬之

東京理科大学専門職大学院総合科学技術経営研究科教授

いたみ・ひろゆき●1945年、愛知県生まれ。一橋大学商学部卒業、カーネギーメロン大学経営大学院Ph.D。一橋大学大学院商学研究科教授を経て、2008年4月より、東京理科大学専門職大学院総合科学技術経営研究科教授。著書に『経営を見る眼』『経営戦略の論理』『日本型コーポレートガバナンス』などがある。

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