
【3】「新・日本型金融道」で世界を制す
三井住友銀行:業界標準をつくる特殊部隊の秘密
「大切なことは顧客企業の成功。そのためには誰とでも組んで“チームアップ”せよ」
ジャーナリスト 宮尾 攻=文 的野弘路=撮影
MBO案件の融資を1カ月弱で決断
同様に、高く評価しているのが三重県のナンバーワン・ゼネコン、日本土建の田村憲司会長だ。
「とにかく、三井住友は本題にズバリと入ってきて、スピード感がある。かつ、回答が明快。そして、私たちを信頼し、課題を解決してくれました」
田村会長が語る“課題”とは、本業である建設業を担う日本土建を、MBOによって非上場化することだった。日本土建グループは全部で7社。ながらくグループを牽引してきた日本土建は建設不況の中で、近年、ご多分にもれず、「苦戦を強いられている」。それと対照的に躍進著しいのが、同社の子会社「ZTV」が展開するケーブルテレビ事業だ。
2事業の明暗を見極めた田村会長は、「ZTV」を親会社とし、日本土建を傘下に収める新たなグループづくりを画策した。そして、決意したのが、日本土建の非上場化だった。
「グループを牽引するのは苦戦業種ではなく、好況産業。ケーブルテレビ事業を親会社にして、成長の柱にしたいと考えました。しかし、そのことを株主に納得させるのは難しい。ならば、日本土建の株式を私が公開買い付けして、非上場化させる変革をしなければならないと考えたのです」
日本土建がこの一件を初めに相談したのは三井住友ではない。別のメガバンクだった。ところが、真剣な相談を持ちかけているにもかかわらず、あれこれと尋ね続けて、一向に本題に入ろうとはしない。田村会長は隔靴掻痒の日々を余儀なくされた。
苛立った日本土建は他社に相談を持ち込んだ。そのフィナンシャル・アドバイザーである大和証券SMBCからCA本部へと話が伝えられたのは08年4月だった。
宮尾 攻
みやお・こう●金融専門誌などを経て経済ジャーナリストとして独立。『「IYバンク」で何が変わるか』『日本銀行の研究』『証券市場は死んだのか』『国債のカラクリ』『ペイオフ預金消失』など著書多数。
武田薬品、富士通、資生堂……。経営者の知られざる素顔を描く。
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