
否定できないハイパーインフレの危険性
政府紙幣
政府紙幣というアイデアが自民党議員の間で急浮上している。
公認会計士・税理士 柴山政行 高橋晴美=構成 ライヴ・アート=図版作成
2008年度末の公債残高は550兆円を超え、国民1人当たりに換算すると433万円に達する見通しだ。政府紙幣には返済の義務がない。国債を発行すれば国の借金になるが、政府紙幣なら利払いも償還も不要である。国債の償還にあてて日本の財政を健全化させることも可能だ。
たしかに先進国の中でも屈指の借金大国である現状は憂うべきであり、私も問題視している。しかし今のところ私は、円に対する信頼は薄らいではいないと思う。お金の価値の底辺にあるのは国民の労働力であり、それは今も衰えていないと考えるからだ。大学で若い学生に対峙しても、能力の高さを感じることが多い。
政府紙幣を国民に配り、消費を喚起するという案もある。緩やかなインフレを誘導することで、雇用を確保するにも有効という。しかし、物が余ればありがたみがなくなるように、通貨の流通量が増えれば、お金の価値は下がる。ケインズなどは、人間の欲望ゆえ、何でも買えるお金自体を好んで集める、と考えている。
1杯目のビールは旨いが10杯目はそうでもないといった現象を「限界効用の逓減」という。しかし、お金についてはいくらあってもよく、あればあるほど、気が大きくなって使ってしまう。
もし政府紙幣の発行で財源ができても、それをどう活用するのか。政府紙幣を議論する際には、何に使うのかというビジョンも描かれなければならない。
そもそもお金は紙切れにすぎない。ではお金とはなにか。次回お話しする。
柴山 政行
公認会計士・税理士
しばやま・まさゆき●1965年、神奈川県生まれ。埼玉大学経済学部卒業後、92年10月に公認会計士二次試験に合格。大手会計事務所勤務などを経て、98年に柴山政行公認会計士事務所を開設。コンサルティング、実践的な会計教育など業務の拡大にともない、2004年に合資会社柴山会計ソリューションを設立する。近著に『一目で見抜く!財務諸表解読法』がある。
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