一流社員が読む本
2009年 6月 05日

世の中の本質、変化を数字のドラマを読む

「10大科目別」勝敗を分ける勉強本150冊【会計・財務】

サブプライム問題に端を発した金融不安の原因として会計制度の指摘が相次ぎ、見直し論が飛び出している。

会計制度の信頼回復の処方箋

けれども、お金は理論や制度だけで動いているわけではない。むしろ、因業深い人間模様のなかにこそ、その本質はあるのかもしれない。

このタイミングで『ナニワ金融道』を勧めるのは、新銀行東京の経営がおかしいから。03年に、資金調達に悩む中小企業を救済する目的で誕生したものの、開業初年度から赤字決算になった。そして、杜撰な融資で多額の貸出金が焦げつき昨年、東京都は400億円を追加出資し、世間の指弾を浴びた。

日本の銀行は、優良企業には低利で担保融資をしてきた。その一方で、債権管理リスクの高いところには貸し渋る。そこに資金を回してきたのが、このマンガに登場するマチ金(消費者金融)業者である。彼らは銀行にない“人間関係”という回収機能を持っている。本人が破産しても親も兄弟もおり、そのつながりに貸し、シビアに回収していくのだ。

90年からの週刊誌連載が単行本化されると、銀行の支店長室にバックナンバーが並んだという。社長の人柄や事業手腕に金を貸すというのは、銀行が持っていた思想のはずである。金融屋のほうが、本来のバンカーに近いというのは、なんとも皮肉な話ではないか。

分野は異なるが、出色の本だと感心したのが『泥の文明』だ。文化比較論だが、欧米と日本の会計に対比させて読んでいくと面白い。

土が少なく、掘ればすぐに石にぶつかるヨーロッパは「石の文明」で、狩猟が生きる手段にならざるをえない。それは現在の利益を重く見る時価会計に通じるところがある。一方、土と水に恵まれ、農耕による定住が可能な日本の「泥の文明」は、ロングスパンで考える原価主義ということもできよう。

今回の金融危機を振り返ると、競争が行きすぎた欧米の時価会計は明らかに失敗だった。会計制度の信頼性回復の処方箋は、日本が伝統的に行ってきた原価主義にあることを教えてくれる。

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『考えるヒント』 2009年 11月 22日
『現代日本の転機』 2009年 11月 18日
『地中海』 2009年 11月 15日
『全脳思考』 神田昌典 2009年 11月 13日
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