新・会社論
2009年 6月 10日

【1】「強いものをより強く」戦略で逆風に勝つ

三菱電機:営業利益率総合電気1位の強さに迫る

経済動乱時でも「営業利益率5%以上」の旗を掲げる三菱電機。地球温暖化対策事業の拡大を打ち出し、この荒波に向かう。

JR大阪駅から福知山線で約40分、国内唯一の生産拠点である兵庫県・三田製作所を訪ねた。

三菱のカーナビをつくり出す技術の連携
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三菱のカーナビをつくり出す技術の連携

カーナビはすでに家電並みの普及品だが、それを構成する要素技術は実に多岐にわたり、技術革新のスピードが極めて速い。図に示すように、音声、映像はいうまでもなく、交通情報やデータ、通信など最新の情報通信技術も必須になっている。カーナビの生産にはOEM(相手先ブランドによる生産)と市販向けの2つのマーケットがあるが、最近の市場動向を踏まえ、中西康之所長はその厳しさを次のように語る。

「以前は車のモデルチェンジに合わせ、6年ぐらいの製品ライフサイクルがありましたが、今は2、3年に縮まっています。そのためカーナビ市場で勝ち抜くには、開発期間のリードタイムをいかに短くするかが至上命令になっているのが現状です。OEMにしろ市販にしろ、自動車メーカーから限りなく不良品ゼロを要求されるので、開発・設計や生産技術には特段の厳しさが求められます」

当然、常に他社の一歩先をいく技術革新のスピードにもついていかなければならない。「カーナビ技術はAVNC」つまり「AV(オーディオビジュアル)」に「N(ナビゲーション)」が付き、さらに「C(コミュニケーション)」が付加されるというのが中西の見立てであり、それだけに技術のシナジーというか、さまざまな要素技術を組み合わせて一つの製品に仕上げる「統合力」がカギを握る。

リエゾンマンは部長級の40人

実は、ここに三菱電機の強さの秘訣が隠されている。ある意味でカーナビはVI|AD戦略の縮図ともいえる製品なので、開発体制に焦点を当てながら同社の強さの底流に潜む成長戦略の一端に触れてみる。

再び上の図を参照してもらいたいが、それぞれの要素技術を持った研究所、センターが一つの輪のようにつながっているのがおわかりだろう。まさにこれらの連携部分がさらなる技術革新の推進役を担うのであって、中西はこう続ける。

「カーナビに取り込むテレビ映像一つ取っても、周波数帯をどう確保するかをはじめ、どれだけ通信技術を準備しているかで勝負が決まってしまう。それを実現していくにはシナジーどころか、三菱電機の力のすべてを結集する必要があり、そのために製作所と研究所の距離をいかに縮めていくかが問われるわけです。うちでは製作所と研究所をつなぐ部長クラスのスタッフを『リエゾンマン(橋渡し役)』と呼んでいますが、彼らを介して両者の交流を活発にし、より強いものを強く、しかもそれらを柔軟に融合させていく体制が整っているところに収益性の高さがあるのではないでしょうか」

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プロフィール

岸 宣仁

経済ジャーナリスト

きし・のぶひと●1949年、埼玉県生まれ。東京外国語大学卒業後、読売新聞社入社。旧大蔵省、旧通産省、日本銀行などを担当して独立。著書多数。近書に『デジタル匠の誕生』(小学館)がある。

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