新・会社論
2009年 6月 11日

【2】「強いものをより強く」戦略で逆風に勝つ

三菱電機:営業利益率総合電気1位の強さに迫る

「1人のホームランバッターより、ヒットを打てる何人もの人材を集めて地道に取り組むほうが成果が上がる」

原のいう製品・技術シナジーには、インバータ(周波数制御装置)に使用するパワー半導体が重要な役割を担っている。

「インバータ・エアコン」という呼び名が一種の固有名詞になっているように、日本ではほぼ100%のルームエアコンにこの方式が採用され、周波数を変化させることによってモーターのスピードをこまめに最適に制御する。その頭脳部分に当たるのがパワー半導体である。後段で詳しく説明するが、例えば暑い夏に部屋を急速に冷やし、しばらくして今度は冷やしすぎないよう温度を多少元に戻す機能は、この半導体の性能がカギを握る。

物にカネをかけず開発にカネをかける

「e-ファクトリー」で組まれたライン。オンラインでつながれて一括管理された製造工程、品質管理、在庫管理などの工程情報はディスプレーで確認できる(写真上)。ロボットを含めた工場は統合力が売り(写真中)。一見町工場のような外観だが、工場内はハイテク機器が集積(写真下)。
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「e-ファクトリー」で組まれたライン。オンラインでつながれて一括管理された製造工程、品質管理、在庫管理などの工程情報はディスプレーで確認できる(写真上)。ロボットを含めた工場は統合力が売り(写真中)。一見町工場のような外観だが、工場内はハイテク機器が集積(写真下)。

プロ野球・中日ドラゴンズの本拠地であるナゴヤドームにほど近い名古屋製作所。約30万平方メートルに及ぶ広大な敷地に、築80年という三角屋根の古い工場が立ち並び、いかにも「三菱」の歴史を感じさせるレトロな工場風景だ。

しかし建物に一歩足を踏み入れると、外観とはまるで違って、産業用ロボットがあちこちで作業する超近代的な生産ラインに目を見張る。ここは、全社の連結営業利益の4割近くを稼ぎ出すファクトリーオートメーション(FA)の主力拠点でもある。

FAは文字通り「工場を自動化する」ことにあるが、三菱電機が提唱するのは、それをさらに一歩進めたFA統合システム「e-ファクトリー」である。すでに自動車をはじめ、薄型テレビ、携帯電話、食品関連企業への導入が進み、ITとMT(製造技術)を結びつけて“見える化”を実現した最新鋭工場の評価を受ける。

ここ名古屋製作所には、e-ファクトリーのモデル工場としてサーボモータ組立工場が稼働している。工場内には、ほぼすべての生産設備から延びた青いケーブルが天井を這うように広がり、工程ごとに管理用のディスプレーが設置されている。

この青いケーブルがLANのケーブルで、工場のサーバにつながり生産設備からの情報を吸い上げる。そしてサーバに集められた各機器の情報が、ディスプレー上に現在の実績値、目標値、エラー情報として配信され、全工程の稼働状況が一目で確認できるようになっている。

その結果、どんなメリットが生まれたのか。気になる点を、e-ファクトリー統括の渡部裕二開発部次長に質すと、以下の答えが返ってきた。

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プロフィール

岸 宣仁

経済ジャーナリスト

きし・のぶひと●1949年、埼玉県生まれ。東京外国語大学卒業後、読売新聞社入社。旧大蔵省、旧通産省、日本銀行などを担当して独立。著書多数。近書に『デジタル匠の誕生』(小学館)がある。

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