社長の仕事術
2009年 6月 15日

【1】好機を逃さない「60%即決主義」―前田新造

多忙トップ「混迷突破の時間操縦法」大公開

売り上げ目標とは、決して、上から“達成”を強要するものではないのだ。

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私は、売り上げ目標とは、BCが心底お客様に美しくあってほしいと願い、その熱意がお客様に伝わり、お客様が継続的に資生堂に足を運んでくださるようになることによって“到達”するものだと考えている。決して、上から“達成”を強要するものではないのだ。そして、経営者がなすべきことは、社員のモチベーションを高める方法を一所懸命に考え、それを実行に移すことであるはずだ。

私がノルマの撤廃を決断したとき、社内に不安が走った。「BCが怠けるのではないか」というのである。しかし、私の考えは正反対だった。ノルマを撤廃すると、むしろ仕事はきつくなるのである。

先ほど述べた通り、ノルマは単位時間当たりの売り上げ目標の達成を迫るものだが、裏返して言えば、目標を達成した後は、余力で走ればいいという気持ちになれる。しかし、お客様の満足度を評価尺度に据えると、働いている時間をフルにお客様のために使わなければならなくなる。その結果、すべてのお客様との出会いが一期一会の真剣勝負となる。

この改革が成功だったことは、実施からわずか2年半の間にお客様からいただいた160万通ものアンケート葉書が証明している。実にその9割が、お褒めの言葉で埋め尽くされていたのだ。

そして多くのBCが、「一生資生堂と暮らしたい」とお客様におっしゃっていただけるほどの情熱を仕事に傾けるようになった。ノルマという“時間と金額の箍”を外されたことで、BCは最高の自己実現の舞台を手に入れたのである。

次に「魅力ある人で組織を埋め尽くす」という夢についてだが、一般に、人件費はコストであると認識されている。しかし私は、経費でなく、人材は資産だと考えている。人材とは、一のものを二にも三にも増やす力を持つ、唯一の経営資源だからだ。しかし同時に、人材の育成には長い時間と労力を要するのも事実だ。

創業当時の資生堂は、社員が独自に勉強をする風土を持っていた。英語、会計、簿記……。銀座の店は終業後も深夜まで灯りが消えることがなく、「書生堂」と綽名されたという。そうした伝統を引き継ぐのが、07年に開校した企業内大学、「エコール資生堂」である。

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