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2009年 6月 19日

不景気アメリカで銃がバカ売れしている理由

堀田佳男の「オバマの通信簿」【13】

政府はGMが競争力のついた自動車メーカーとして生まれ変わることを期待する。

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理由はオバマ大統領の銃規制に隠されていた。96年にイリノイ州議員に当選した時、オバマ氏はマシンガンや短銃を含めたすべての銃所有に反対する考えを示していた。いかにもリベラル派議員らしい立場である。ただ、主義主張だけで政治家は務まらない。

昨年の選挙中、オバマ氏は銃所有の権利を謳う憲法修正第二条を認める立場をとったが、規制という観点からは、半自動式(セミオートマチック)のマシンガンなどの殺傷力の高い「攻撃武器(Assaulted Weapons)」の売買を禁止したい意向だった。

「攻撃武器」については、クリントン政権時代の94年、売買禁止法案が時限立法で成立していた。04年の期限切れ後、マシンガンがスポーツ用品店で再び買えるようになり、オバマ大統領は再度、売買禁止に持ち込みたかったのだ。エリック・ボルダー司法長官も今年2月、「攻撃武器」の売買を禁止する動きを歓迎する発言を行った。

それに対し、同じ民主党の下院議員65名がホルダー氏に書簡を送って、「年内に攻撃武器禁止法案が成立しないようにしてほしい」と懇願した。民主党も一枚岩でないのだ。

背景には地元との利害関係がある。下院は小選挙区なので、全米ライフル協会(NRA)などから献金を受けていると、個人として銃規制に賛成でも、実際は反対せざるを得ない状況がある。なにしろNRAは年間予算200億円のアメリカ最大のロビイング団体で、気に入らない法案はかなり高い確率で潰してくる。それがワシントンの政治力学である。

そうした中、銃規制に反対する市民を中心に、規制法案が成立する前に銃を買い置きする人たちが増えたのだ。ちなみに銃を買う時は、アメリカ市民であれば運転免許証などの身分証明書を提示し、身元調査書に必要事項を書き込むだけである。店側がインターネットで連邦捜査局(FBI)に身元調査を要請して答えがでるまで30分もかからない。犯罪歴がなければ誰でも購買できる。

さらに全米中では、年間5000回といわれる銃の即売会が開かれている。そこでは身元捜査の手続きを踏まないことが多く、事実上の野放しが続いている。現在アメリカ国内に出回っている銃の数は約2億5000万丁から3億丁といわれており、アメリカの人口とほぼ同数なので、国民一人に一丁という割合である。

豊臣秀吉の刀狩令と同じようなことを実施することは現在のアメリカでは不可能だが、少なくとも「攻撃武器」の売買禁止を復活せることから始め、規制強化を進めることが望まれる。だが、アメリカではハンティングがメジャースポーツの一つとされている点や、地域によっては家族を強盗などから守るために銃は必要とする価値観が強く残されている点などから、銃規制への動きは鈍い。

まして、4月に行われたギャロップ調査の結果をみると、銃規制に関してアメリカは保守化の傾向が出ている。短銃の所持を禁止すべきと答えた人は29%に過ぎなかった。これは過去50年で最低レベルである。そのためオバマ大統領が選挙中に「攻撃武器」の売買を禁止する法案を通すと意気込んでも、現実に議会で成立できる可能性は低い。

「チェンジ」がオバマ大統領のキャッチフレーズだったはずですが、銃規制であらたな「チェンジ」を実現させることは多難なのが現実である。

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プロフィール

堀田 佳男

1957年東京生まれ。早稲田大学 文学部を卒業後、ワシントンDCにあるアメリカン大学  大学院国際関係課程修了。大学院在学中に読売新聞ワシントン支局で1年間助手を務める。卒業後、米情報調査会社に勤務。アメリカの日刊紙の日本語ダイジェストの執筆・編集に携わる。永住権取得後、1990年に会社を辞して独立。以来、ジャーナリストとして政治、経済、社会問題など幅広い分野で精力的に執筆活動を行っている。25年の滞米生活後、2007年春帰国。
著書に『大統領はカネで買えるか?』(角川新書)『大統領のつくりかた』(プレスプラン)など。

http://www.yoshiohotta.com/

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