
民主党政権を挫く「魔の火薬倉庫」
「熱狂なき支持」でも第一党は確実。政権交代の足音が近づいているが……
<7/13最新号からチョイ読み>「自民190、民主は230」。刻々と迫る解散総選挙の票読みを自民党選対筋はこう弾く。
政治ジャーナリスト 平川悠三=文
「鳩山政権」が、自民党政権と最も違うのは官僚との距離だ。民主党政権では100人以上の政治家が、大臣、副大臣、政務官、補佐官などとして内閣に入る。今、各省庁内にある局、庁は約130だから、各省の局長とほぼ同数の政治家が霞が関ににらみを利かすことになる。法案化も政治家が行い、あらゆる記者会見から官僚を排除することさえ検討中だ。
省庁縦割りの行政を打破する仕掛けもつくる。このシンボルは首相官邸の「大部屋」だ。官邸のひと部屋を大臣用の部屋として改装し大臣たちが自由に出入りする。お付きの官僚のいない部屋で政治家だけの議論を深めるサロンとする。
内々に検討されている“隠し球”は省庁設置法の廃止。今、日本の省庁は、それぞれの設置法にもとづいているから、枠組みを変えるには法律を改正しなければならない。しかし、事前に設置法を廃止しておけば、自由に再編できる。麻生政権は先日、厚生労働省の分割を検討し、途中で断念したが、設置法を廃止してしまえば分割も統合も簡単だ。
このほか(1)大臣、副大臣、政務官の「政務三役」を機能させる、(2)事務次官会議の司会は従来の事務官房副長官から政務の副長官に変更する――などを検討。いずれも、政治の主導権を官僚から取り戻すのが狙いだ。
彼らが政治主導にこだわるのは16年前の苦い記憶が残っているからだ。民主党のベテラン、中堅議員の多くは93年、細川非自民連立政権に参加した。細川政権は、国民の人気は高かったが、政治改革以外は自民党政権を継承したため、官僚主導のシステムを崩せず短命に終わった。「細川政権の失敗は繰り返さない」が民主党の合言葉なのだ。
「官僚内閣制」打破の流派の違い
日本では従来、国会で首班指名が行われると、その日のうちに組閣してきた。だが「鳩山政権」は、首班指名から組閣までに、数日は時間をかける方針だ。内閣が準備不足で発足すると、官僚の振り付けに従わざるをえなくなり、そこから官僚支配が始まると考えているからだ。
米国では11月の大統領選から新政権発足までたっぷり2カ月かける。この例を見れば、同党の試みは、突飛な発想でないことがわかるだろう。ただ、米国と日本では事情が違うことは留意しておく必要がある。超大国・米国の場合、政治空白をつくっても他の国々はそれにつき合ってくれるが、日本は、そうはいかない。政権発足に時間をかけている間に、世界の流れから取り残されてしまったら何のための政権交代かわからない。
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