
「アートの五輪」第53回ヴェネチアビエンナーレ(1)
ビジネスマンのための「現代アートABC」【第28回】
今年も2年ぶりに、地元の人々も楽しみにしているヴェネチアビエンナーレが始まりました。
山口裕美=文
日本とヴェネチアビエンナーレの関わりは長く、1952年に横山大観以下11名が初参加し、1956年にはジャルディーニ公園内に吉阪隆正の建築による日本館が誕生。さらに棟方志功(56年)、池田満寿夫(66年)が版画部門の国際大賞を受賞、1995年には千住博が優秀賞を受賞し、今回、オノ・ヨーコが生涯業績部門で金獅子賞を受賞しています。
しかし、以前、この連載で書いたとおり(第20回:ヴェネチア・ビエンナーレで見る国家戦略としてのアート)、日本という国の国益を考え、ある意味、もっとも利用価値のあるこの場所を日本の文化戦略として上手く活用しているとは言い難い面があります。
まずはジャルディーニ公園の中の各国パビリオンを紹介しましょう。まず、パビリオン部門で金獅子賞を受賞したアメリカです。アーティストはブルース・ナウマン、ネオン管やビデオアート作品で知られるアメリカ現代アート界の巨匠です。68才の彼がアメリカの代表として出てくるというのは、いまさらという気持ちがしますし、受賞も当たり前すぎて感激がありませんでした。もちろん展示は素晴らしく見ごたえがあります。
話題になっていたのがイギリス館のスティーブ・マックウィーンです。イギリス館は大きなパビリオンの中央の1部屋だけを約80席ほどのシアターにし、「ジャルディーニ」と題された30分の映像作品を出していました。約80名しか入れませんので、当然、予約チケットが必要になり、オープンすると同時に小高くなっているイギリス館へ向けて各国メディアの人々が走りだす光景は、異様なものがありました。これからヴェネチアに行かれる方は、まずはイギリス館へ行き、予約チケットを手にいれることをお勧めします。
山口 裕美
Yumi Yamaguchi●アートプロデューサー&アートジャーナリスト。アーティストをもっとも近くから応援するその活動から「現代アートのチアリーダー」の異名を持つ。ウェブサイト、トウキョウトラッシュを主宰。アート系NPO法人芸術振興市民の会(CLA)理事。エレクトロニックアートの祭典「eAT金沢99」の総合プロデューサー、2004年ARS ELECTRONICA ネットビジョン審査員。著書に「TOKYO TRASH web the book」(美術出版社)、「現代アート入門の入門」(光文社新書)、「COOL JAPAN-疾走する日本現代アート」(BNN新社)、「芸術のグランドデザイン」(弘文堂)、「Warriors of Art」(講談社インターナショナル)、最新刊「The Power of Japanese Contemporary Art」(アスキー)がある。
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