
澤上篤人―数字よりも「感情」で投資せよ
プロが指南!動乱時の投資、運用の新常識
必ずしも底値で買うことにはならないにしても、暴落後の買いは長期的に見て絶対不可欠なのです。
面澤淳市=構成 大杉和広=撮影
それよりも、私の場合は「自分がこの会社の経営者になったらどうするか」という仮説を常に立て、興味のある会社の経営をずっと見続けています。すると価値観が合致していたり、予想以上のすばらしい経営を行う会社が出てきます。
そういう会社の株を、株式市場自体が暴落したとき――言葉を換えれば「応援する」タイミングになったときに買うのです。今回ほどの暴落は極端ですが、ふだんでも年に2、3回は株価が割安になる機会が訪れます。
新興国なら、広く浅く買って20年保有せよ
例えば、私はずっと「エネルギー」「食料」「環境」「工業原材料」「水」の5つのテーマを追いかけていますが、その中でも興味がない業種、会社もあります。例をあげると、エネルギーでも「原子力発電には興味がない」と明言しています。
原発は米国や中国などの新設計画が相次ぎ、世界中で追い風が吹いています。短期的には発電コストが安くつき、二酸化炭素排出量を低く抑えられるという意味では環境面でも優秀な方式です。その半面、万一事故が起きたときの悪影響の大きさや、そのことに対する市民の間の根深い不信感を考慮に入れると、万全の未来があるとは思えませんし、私自身も好きにはなれません。
そこで原子力に代わる再生産可能なエネルギーとは何かを考えると、バイオマス発電や太陽電池に気持ちがひかれていきます。短期的な発電効率を考えると原発は優秀ですが、将来の安心感や安全を考えたときには、少しコストが高くついてもいいんじゃないかと思う。そんな考え方を投資行動の中に持ち込むのです。
この考え方は、あらゆるテーマに当てはめることができます。まず生活実感を考える。するとその時点で「これが嫌だ」と感じるところ、つまり社会的な不便や障害、規制などが見えてきます。不便や障害を解消するには何をすればいいか。それがわかったら、今度は同じ考えで動いている人、企業はないだろうかと発想を広げてゆくのです。
経済のグローバル化が進んでいますが、為替リスクなどを考えると、わざわざ外国株に手を出すことはないと思います。世界を相手にビジネスをしている日本企業の株を買えばグローバル分散投資と同じ効果を得られます。国内でいつでも売り買いできますし、特に大型株であれば何か非常事態が起こって、ポートフォリオ組み入れ企業の半分くらいがだめになったとしても資産として安全なのです。
ただ、新興国に興味があるなら現在はやはり割安ですから、長期保有する覚悟でなら買ってもいいと思います。販売サイド主体のファンドは避け、興味のある国の株を広く浅く業種横断的に20~30銘柄買っておく。半分くらいが紙くずになっても、20~30年後には莫大なリターンを得られるかもしれません。
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