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2009年 6月 28日

「アートの五輪」第53回ヴェネチアビエンナーレ(2)

ビジネスマンのための「現代アートABC」【第29回】

ビエンナーレの魅力の一つは、現代アートのイベントでありながら、実は世界の政治経済の縮図になっている点です。

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サンマルコ広場の対岸にあった旧税関倉庫を建築家・安藤忠雄が改装し、中世の面影を残したまま、総工費2000万ユーロ(約27億6000万円)、2年間かけて完成させました。建物も素晴らしいのですが、中身は物凄いコレクションなのです。

ロシア館を何枚もの「未来図」が飾った。これは「2518年のピラミッド」。
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ロシア館を何枚もの「未来図」が飾った。これは「2518年のピラミッド」。

レイチェル・ホワイトリード、マウリッツオ・カテラン、シグマー・ポルケ、マイク・ケリー、チャップマン兄弟、村上隆などなど、過去のヴェネチアビエンナーレに登場したスターアーティストの代表作が「これも、またこちらも。」という感じで展示されています。グッゲンハイムヴェネチアから近い場所にオープンしたこともあって、ヴェネチアがヨーロッパにおける現代アートの1つの拠点になったと思います。

ヴェネチアビエンナーレの魅力の一つは、現代アートのイベントでありながら、実は世界の政治経済の縮図になっている点です。前回から導入されたビエンナーレカードを購入すると、今までならばアート関係者しか入れなかったベルニッサージュ(内覧会)に入ることが出来るようになりました。その結果、世界中からコレクターがプライベートジェットや大型のクルーザーでヴェネチア入りしていて、ジャルディーニ公園の近くやピノー財団の「プンタ・デラ・ドガーナ」の前に大きなクルーザーが多数横付けされているのを見ました。

15世紀の「海の税関」が最先端のアートスペースに生まれ変わった。
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15世紀の「海の税関」が最先端のアートスペースに生まれ変わった。

イタリアの企業でビエンナーレに積極的に協賛している家具メーカーや化粧品メーカーなどもありました。ビエンナーレ事務局が公式発表している前回の入場者数は、32万人ですが、実は関連企画やヴェネチア市内各地で開催しているアーティストの個展などを含むと、83万人もの入場者があり、延べ人数では180万人になるほどヴェネチア市の活性化には大きな役割を果たしています。

「プンタ・デラ・ドガーナ」のオープニングには、シラク元大統領をはじめとして、フランスのセレブが多数駆けつけましたし、コレクターが集合しているベルニッサージュの3日間には、ヴェネチア料理でビジネスランチやビジネスディナーをしている姿が見受けられました。ヴェネチアビエンナーレのオープニングであるベルニッサージュでは、今後の現代アートの動向はもちろん、国際的な社交の場としての機能もあるのです。

日本企業の中には世界戦略を考えているところもあるでしょう。その時にちょっとだけ柔軟な思考を持てれば、ヴェネチアビエンナーレの活用方法も見えてくると思います。今のところ、そのことに気づいている日本企業はないのですが、近い将来、日本の現代アートの発展と共に、気付いていただけたらうれしいです。

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プロフィール

山口 裕美

Yumi Yamaguchi●アートプロデューサー&アートジャーナリスト。アーティストをもっとも近くから応援するその活動から「現代アートのチアリーダー」の異名を持つ。ウェブサイト、トウキョウトラッシュを主宰。アート系NPO法人芸術振興市民の会(CLA)理事。エレクトロニックアートの祭典「eAT金沢99」の総合プロデューサー、2004年ARS ELECTRONICA ネットビジョン審査員。著書に「TOKYO TRASH web the book」(美術出版社)、「現代アート入門の入門」(光文社新書)、「COOL JAPAN-疾走する日本現代アート」(BNN新社)、「芸術のグランドデザイン」(弘文堂)、「Warriors of Art」(講談社インターナショナル)、最新刊「The Power of Japanese Contemporary Art」(アスキー)がある。

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