新・会社論
2009年 6月 30日

【2】リッツ・カールトン・バリ事件

名門ホテルを襲った懲罰金10億円裁判の一部始終

「リッツ・カールトンの違反行為はきわめて重く、非道である」罪の重さは莫大な懲罰金が物語っていると言えるだろう。

プロ・スポーツで例えれば、イチローが本人であり、メジャーへの移籍交渉を行うトニー・アタナシオ氏が代理人である。この関係が、カラン・マス社(=本人)と、リッツ・カールトン(=代理人)の間にも結ばれているとカラン・マス社は主張した。

対するリッツ・カールトンは、(2)のリッツ・カールトン・バリ顧客名簿の無断使用は認めたものの、(1)においては「ブルガリ・バリには、リッツ・カールトンの名前もロゴも一切使用していないので、ブランド権を使用したことにはならない。よって契約に反していない」と反論した。

さらに、カラン・マス社とリッツ・カールトンとは本人と代理人の関係ではないと主張した。その理由は、契約書では、代理関係について何ら明記されてはいなかったからである。あくまでもリッツ・カールトンは、期限を設け、専門性の高い仕事を受託して行う独立契約者であり、カラン・マス社との契約は業務委託契約であると主張した。

そもそも「リッツ・カールトン・バリとブルガリ・バリは顧客層が異なるので競合しない」とリッツ・カールトンは主張した。いわく「リッツ・カールトン・バリに泊まる顧客は億万長者の雰囲気を味わいたくて来る。ブルガリ・バリに泊まる顧客は、本物の億万長者だ」。

カラン・マス社とリッツ・カールトンの交わしたホテルマネジメント契約には、リッツ・カールトンのブランド権使用については名前、マーク、ロゴだけでなくリッツ・カールトンのオペレーティングシステムやマネジメントモデル、ストラテジー、トレーニングプログラムまでが含まれると定義されていた。

これらを使用して顧客や旅行エージェント、メディアに営業活動を行っていたなら契約に違反する。そしてカラン・マス社とリッツ・カールトンは代理関係で結ばれているか否か。判断は9名の陪審に委ねられた。

08年1月25日、3週間に及ぶ審理の末、陪審の全員一致で以下のように評決した。

「リッツ・カールトンとカラン・マス社は代理関係にあり、リッツ・カールトンはカラン・マス社およびリッツ・カールトン・バリに対し、アメリカ代理関係法の信認義務および忠実義務に違反している」

前のページへ 1 2 3 次のページへ
Feedback
この記事を 全部読んだ
  一部だけ読んだ
  あまり読まなかった
内容は とても参考になった
  まあ参考になった
  参考にならなかった
 
サイト内検索
プレジデントのおすすめ記事
特集
経営者たちの40代

武田薬品、富士通、資生堂……。経営者の知られざる素顔を描く。

朝礼のヒント

絶好調企業は必ず効果的な「朝礼」をしている!レポートはこちらから

プレジデント最新記事