新・会社論
2009年 6月 30日

【2】リッツ・カールトン・バリ事件

名門ホテルを襲った懲罰金10億円裁判の一部始終

「リッツ・カールトンの違反行為はきわめて重く、非道である」罪の重さは莫大な懲罰金が物語っていると言えるだろう。

>>「リッツ・カールトン・バリ事件」は5回連載。目次はこちら

懲罰金はなんと1000万ドル!

裁判にあたり、スリアワン氏は過去の判例を調べ、この裁判の鍵はアメリカの「代理関係法」にあると理解した。そこで類似したケースで勝訴実績のある、ビッケル・アンド・ブルーワー法律事務所をカラン・マス社の訴訟代理人に選んだ。

アメリカの法の手続きに則り、マリオットの本拠地、メリーランド地区連邦地方裁判所にて、陪審を選択して裁判が開かれることになった。

裁判に関するキーワード


 裁判の争点は、(1)リッツ・カールトンのブランド権を使用してリッツ・カールトン・バリと競合するホテル、ブルガリ・バリを操業したことは、ホテルマネジメント契約に違反し代理関係法の信認義務に違反する、(2)リッツ・カールトン・バリの顧客情報を、競合するブルガリ・バリの販売促進のために無断で使用したことは代理関係法の信認義務に違反する、この2点だった。

(2)においてはブルガリ・バリのオープニングに際し、リッツ・カールトン・バリの顧客に挨拶状を送っていた事実をカラン・マス社は把握していた。

代理関係法とは、日本ではあまりなじみがないが、欧米では一般的な財産権保護法だ。二当事者間の、法的責任をともなう信認関係を定義したもので、代理人が本人に代わって一定の行為をなし、その効果を本人に帰属させるという関係である。

財産権保護法に基づく信託関係においては、受託者が相手方に対し高度の忠実義務を行い、相手方の利益をはかるため最高度の信義誠実を尽くして行動しなければならない。

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