
【5】スリル偏向タイプ「でも、ぎりぎりまでやる気になれない!」
6タイプ別「グズ、後回し、大慌て」の克服法
スリル偏向タイプは、スタートダッシュが遅いことが特徴です。
立正大学心理学部教授・文学博士 齊藤 勇 構成=村上 敬
処方箋「ご褒美を前倒ししない」
スリル偏向タイプはぎりぎりでも間に合わせる自信があるから仕事を先延ばしにするように見えますが、じつは逆です。本当は能力に自信がなく、クオリティが低かったり間に合わなかったときに、「時間がなかった」と言い訳できるように予防線を張っているのです。これを心理学では「セルフ・ハンディキャッピング」と言いますが、こうした言い訳が通用しないことはすでに説明したとおりです。まず自分の能力不足を直視することが、スリル偏向を直す第一歩でしょう。
「おもしろくなさそうだから手をつけない」から、「始めてみないとわからない」と発想を変えれば、意外なおもしろさを発見することもあります。そうした経験を積み重ねていくと、時間のプレッシャーによる刺激より仕事の中に潜む刺激のほうに魅力を感じ、意欲的に取り組むようになれるはずです。
刺激を好むスリル偏向タイプの心理を逆手に取ってグズを直す方法もあります。通常、スリル偏向タイプは時間のプレッシャーという危機的状況を刺激にして、仕事に向かう気持ちを盛り上げます。そのため代替効果として、刺激を別の形で演出してあげればいいのです。たとえば「今日中に片付けたらビール一杯」というように、仕事をゲームやコンテストに見立てて、自分へのご褒美をつけると気分も盛り上がります。
ただ、このタイプは自分に甘く、せっかくご褒美を設定してもスケジュールに余裕があると、ご褒美を先に楽しんでしまう傾向があります。これを防ぐためには、お店に予約を入れる、友人と食事の約束をするなどの工夫が必要です。いずれにしても、ご褒美の前倒しは厳禁。前倒しすべきは仕事のほうであることを忘れないでください。
齊藤 勇
立正大学心理学部教授・文学博士
さいとう・いさむ●1943年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は対人心理学。『「時間どろぼう」を退治する方法』『見た目でわかる外見心理学』『心理分析ができる本』など著書多数。
武田薬品、富士通、資生堂……。経営者の知られざる素顔を描く。
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