新・会社論
2009年 7月 02日

【4】リッツ・カールトン・バリ事件

名門ホテルを襲った懲罰金10億円裁判の一部始終

「私にとって、ブランドとは、絶対に守られなければならない約束です」

>>「リッツ・カールトン・バリ事件」は5回連載。目次はこちら

「クレド」の先にあるもの

ウエストペース・ホテル・グループには「カペラ」「ソリス」というふたつのブランドがある。それらを使用せず、スリアワン氏は自ら新ブランド「アヤナ」を立ち上げた。

09年4月1日、アヤナ リゾート&スパ バリはグランドオープンを迎えた。サンスクリット語で「安息の地」を意味するこのブランドを、カラン・マス社とウエストペースとのパートナーシップで、一から育て上げていくという。

業界関係者は、アヤナの未来をどう読んでいるのか。エイチ・アイ・エス バリ・ジャカルタ支店長の小田孝之介氏は次のように述べる。

「リッツ・カールトンのブランドが外れたことで、はじめの数カ月は2~3割、アヤナの客足は落ちるかもしれません。しかし、バリ有数の景観を持つロケーションと、ファシリティは何ら変わりません。むしろ、リブランドに合わせて、バーをつくり、ファシリティをさらに進化させている。

ホテルオーナーの中には、マネジメント会社にすべてを任せて運営にタッチしない場合もありますが、スリアワン社長は積極的に運営に関わり、設備投資の費用も惜しまない」

リッツ・カールトンとの契約時においても、運営に関する人事権・予算執行権はカラン・マス社側にあった。これは、ホテルマネジメント契約としては特異なケースとされる。

「ホテル選択がひとつの決め手になるバリ島旅行において、アヤナのポテンシャルを知ると知らないとでは大きな差が生じることは間違いありません。リッツ・カールトンの創業社長だったシュルツ氏がアヤナのマネジメントを引き受けるというのは、将来の成功が約束されたと同じことではないでしょうか」

シュルツ氏はリッツ・カールトンを退社後、05年にウエストペース・ホテル・グループを設立した。

アヤナを含め、同社がマネジメントするホテルには、パーソナルで洗練されたサービスを時代に合わせて進化させ、従業員をひとつの方向に束ねるためのサービス・スタンダード「カノン」がある。シュルツ氏はリッツ・カールトンの創業時、ガイダンスチームとともに「クレド」をつくったが、リッツ・カールトンで「クレド」をつくったときと「カノン」では、何が違うのか。

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