沸騰!匿名座談会
2009年 7月 29日

【1】人事部の告白―大異変「お金、出世、採用」

本音では人を減らすべきではないと思うが生産を減らすとなると、人を削減しないと経営は成り立たない。

派遣切りから本格的な正社員の賃下げ、リストラが始まった。有力人事部がリストラ対象になる社員、サバイバルできる社員の条件を語り尽くす。

雇用の調整弁として「派遣切り」は当然だ

非正規労働者の「雇い止め」状況
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非正規労働者の「雇い止め」状況

化学 派遣切りが社会的な問題になっている。しかしこれは企業の存続に関わる問題であり、雇用の調整弁として非正規労働者を活用するのは当然だ。うちでも3月末で一定数切る予定だが、決して脱法行為をしているわけではない。

サービス そうはいっても内部留保を含めて体力のある名だたる大手企業が派遣、契約社員など非正規労働者を契約期間満了前に切るのは問題だ。心ある経営者ならば労働組合の意見を尊重して、個人の生活に配慮するものだが、どうも短期的視点で節操もなく首を切っているようにしか見えない。

化学 本音では人を減らすべきではないと思うが、たとえば店舗を閉鎖するとか、製造業のように生産を減らすとなると、人を削減しないと経営は成り立たない。もちろん再配置をするとか何らかの企業努力をしなくてはいけないとは思うが、派遣社員の場合は本人と直接雇用契約を結んでいるわけではない。契約期間満了で減らすのは自然の行為だと思う。

電機 もう一つ頭がいたいのは定年後の再雇用だ。法律で65歳まで雇用が義務づけられているが、今までは基本的に希望者全員を契約社員として雇用してきたが、それもできない。再雇用基準を厳しくして選別せざるをえない状況だ。

広告 定年後の雇用延長にはブレーキはかかるだろう。とくに現役社員の首を切っている会社で希望者全員の雇用延長をするとなると、順番が逆だろうと言われかねない。正直言って定年をすぎた人を守っている余裕はないよ。

流通 雇用を維持する努力はするが、増やしていくのは難しい。とくに流通業界はこれまで地方は厳しくても大都市部はそれほどでもなかった。しかし都市部の売り上げも去年の9月以降落ちている。店舗を閉鎖して、営業しないほうが利益が上がるという状況にまでなっている。

サービス すでに正社員の賃金カットも始まっている。今のところ管理職のみ5%のカットだが、本当にひどくなると一般社員で5%、管理職は10%カット、事業部長クラスになれば30%ぐらいカットされるかもしれない。

化学 今年間違いなく下がるのはボーナスだ。組合員は労使協定があるから、本当に厳しくなるまでは手をつけない。夏のボーナスは維持されるかもしれないが、冬のボーナスは相当下がると見ている。

電機 これまでは賃金はあまり上げずに、業績に連動させて賞与を増やしてきた。当然、業績が悪くなると賞与は下がる。今までは業績好調でその分賞与が高かったわけだから、しょうがない。

サービス うちは2002年に成果主義人事制度を導入し、管理職も降格ありの仕組みを入れたので、賃金は社員間で格差が開いたが、その分を高い賞与が埋めていた。社員は人事制度が変わってもそれほど給与は変わらないと思っていたが、今年は社員間の賃金格差も広がるだろう。

広告 今までは成果主義を入れても業績が右肩上がりだったから、賞与が高いために、年収ベースではメリハリのある報酬にはなっていなかった。ところが今度は違う。去年に比べて数百万円単位で下がる人も珍しくないだろう。

>>「人事部の告白」は全3回。目次はこちら

プロフィール

溝上 憲文

ジャーナリスト

みぞうえ・のりふみ●1958年、鹿児島県生まれ。明治大学政経学部卒業。経済誌記者などを経て独立。経営、ビジネス、人事、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍中。著書に『年金革命』『隣りの成果主義』『団塊難民』『会社を利用してプロフェッショナルになる』などがある。

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