お金・給料の新常識
2009年 8月 27日

退職金を狙い撃ち!?「海外ファンド」のワナ

マネーの新流儀

主催者が「無料」というからには、ほかに目的があるのはいうまでもない。

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ある日、あなたの自宅のファクスに、某税理士法人から「資産運用勉強会へのお誘い」という案内が送られてくる。あるいは、「海外投資のセミナーに参加しませんか」という勧誘電話がかかってくる。参加料は無料だという。

主催者が「無料」というからには、ほかに目的があるのはいうまでもない。「セミナー自体は無料でも、ほかでたんまりいただきますよ」ということだ。仕掛けとして用意されるのが「海外ファンド」だ。

海外ファンドといっても、日本国内で設定・運用されている海外投資信託のことではない。文字通り、海外に行かなければ買えないファンドのことだ。主催者は、興味を示した人たちに香港で口座を開設させ、さまざまなファンドに分散投資する変額年金保険に加入させる。

もちろん自身で香港に行き、自力で口座開設して、変額年金保険などに加入することもできるが、言葉の壁や日本にない手続きを行う必要もあり、円滑に事を運ぶのは難しい。そこで冒頭に出てきた某税理士法人のような、香港のファンド会社と日本の個人の間を取り持つ仲介業者に、手続きを依頼することになる。

ただ、このスキームには、さまざまな問題が内包されている。この手の仲介業者は、自分にとって有利な条件をつくり、日本の小金持ちや退職金で一時的にキャッシュリッチになった人たちから、法外な手数料を取るケースが多いからだ。

とにかく手数料が割高。勉強会への入会金、月々のコンサルタントフィー、運用資金の引き出し手数料など名目はいろいろだが、これらは本来、仲介業者を通さなければ、取られることのない手数料だ。聞くところでは、本来かかる運用フィーは1%なのに、それを仲介業者が顧客に5%と伝え、4%もの差額分を自らの懐に入れているケースもあるという。

次に契約年数。「老後の資産形成は長期積み立てがポイント」などと言って、60歳になった人たちに25年、30年の積立商品を紹介する。契約期間はより長く、積立金額はより多くしてもらったほうが、ファンド会社から入る紹介料が増えるからだ。しかし、60歳の人が30年の積立期間を終える頃には90歳。多額のお金が必要な人生ではないだろう。

仲介業者の継続性の問題もある。顧客は20~30年にわたる運用を前提に加入しているのに、仲介業者にその気がなく、稼ぐだけ稼いだ時点で、店じまいする恐れがある。最初から悪意のある仲介業者だったら、お金を集めるだけ集めて、逃げてしまうケースも考えられる。

顧客から見れば、仲介業者が間にいるからこそファンドの購入、現金化などが可能なのに、肝心の仲介業者が店じまいをしてしまったら、香港のファンド会社とのやり取りに支障を来す。日本人スタッフがほとんどいないと思われる相手との交渉を、自分自身で直接行うのは、非常に難しい。最悪、香港から資金を引き出すことができなくなってしまう。

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プロフィール

鈴木 雅光

金融ジャーナリスト

すずき・まさみつ●1967年、神奈川県生まれ。岡三証券、金融業界誌記者を経て独立。著書に『入門!インド株』など。

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