
竹中平蔵:日本経済を再生する方法とは
混迷経済の処方箋8【4】
「われわれは新自由主義だからこの政策を採りましょう」というようなことは現実にはありえない。政策と思想とは違うのです。
面澤淳市=構成 尾崎三朗=撮影 AP Image=写真
「小泉・竹中」政策で本当に格差を生んだのか
私のことを「市場原理主義者」と批判する人がいるのは承知しています。しかし「原理主義者」と決め付けられればどんな人でも悪者になります。私が市場原理主義者なら、市場がすべてを解決すると信じ込んでいることになるでしょう。そんなことはありえません。
たとえば私は小泉純一郎内閣の金融担当大臣として、金融危機の沈静化につとめました。そのときにやったのは規制の強化です。銀行への規制やルールを強化したから、不良債権処理ができたのです。
「小泉・竹中は規制緩和一辺倒の市場原理主義だった」と決め付ける人がいますが、それは議論の出発点から間違っていることになります。
そもそも政策について、白と黒に単純化した議論はできません。政策はきわめて現実的で灰色です。だから「われわれは新自由主義だからこの政策を採りましょう」というようなことは現実にはありえない。政策と思想とは違うのです。
最近は「格差が生じたのは竹中のせいだ」ともいわれています。まず事実としてジニ係数の推移を見てみましょう。所得の不平等さを測るジニ係数は80年代から90年代にかけて上昇し、とくに90年代に入ってから世界的に上昇しています。
それはグローバリゼーションとIT革命によってビジネスのフロンティアが現れたから、頑張って高い所得を得る人が出てきたということです。
しかし日本では00年代に入ってからジニ係数の上昇は鈍化しています。経済がよくなって失業者が減ったからです。小泉内閣が成立したのは01年で、私は02年に金融担当大臣に任じられました。これだけを見ても、無茶な論法であることがわかると思います。
どうすれば日本経済を再生できるか
日本経済を活性化するのは、それほど難しくないと思います。小泉改革というのは、特別なことをやったかのように考えている人も多いようですが、実際には世界でやっていることを一部取り入れただけなんです。郵政民営化はドイツやオランダでもすでに行っています。不良債権処理に公的資金を注入するという政策も、北欧諸国や米国がすでに経験しています。普通のことをやるだけで、日本はもの凄く強くなれるのです。
たとえば次の3つのことをいまこの時点で日本が行えば、日本経済の景色は大きく変わると思います。
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