
小泉官邸での座席配置のコツ
どんな場面においても、「座席」の席次、配置というのは、なかなか難しいものです。取引先や賓客を招いての正式な会議や宴会から、夜の飲み会あるいは葬儀の席まで、主催者側の担当者が一番頭を悩ませるのが席次でしょう。私も大臣秘書官、総理首席秘書官として、さまざまな人々……現職閣僚、閣僚経験の有無、当選回数の多い少ない、各種団体の長や後援者等々……の席次には神経を使ったものです。
会議や宴席の場合、一番無難なのは円卓か、テーブルを「ロ」の字形に並べることです。この場合、出入り口に一番近い場所が下座。主催者側でその会合の庶務係的な務めをする人が座る位置。その庶務担当から見て正反対の対向の席、それが最も上座ということになります。
難しいのは、飲み会や葬儀などで、早めに到着された方で末席のほうに座ろうとする人への対応です。「もっと真ん中に、どうぞ」「前のほうへ」と勧めても「いやいや」と遠慮する人がいますが、「じゃあ」と下座のほうに席を決めてしまうのは禁物。帰り道に必ず「遠慮したら、アイツ、本当にとんでもない席に座らせやがった」と不満が爆発してしまうでしょう。
席次決定の極意は、「指定席のようで、実は自由席」であることなのです。最終決定を出席者自身に任せてしまう。出席者同士が互いに感じている上下関係で自然にポジションが定まるように誘導することです。
議員の場合、真ん中近くに座っていた人も、自分より偉い人が来たと思ったら「先生、どうぞ」と席を譲ったり、格上の議員が仕切ってくれたりします。そういう、本人たち同士の力関係を利用するのが一番賢明です。自分が場を仕切っていても下手に口を出さない。
葬儀の席では、遠慮して後ろのほうの椅子にばかり人がかたまって、前方の列が空席というケースが起こりがちです。このようなとき、前に移動を促す場合も、前のほうには連れていくものの、その後は相手に任せるのです。
普段の仕事場における執務机の配置も大切なことです。
私は、小泉政権が誕生して首相官邸に入ったとき、まず秘書官控え室の机の配置を根本的に変えました。秘書官控え室とは、首相執務室のすぐ隣にあって、政務秘書官である私と各省庁から派遣されてきた事務秘書官の計5人の秘書官チーム、さらに庶務担当の女性職員が陣取る部屋です。
従来は、これらのメンバーが、まるで市役所の窓口みたいに、全員が入り口の方向を向く、「ニ」の字形で座っていました。それを私は「ロ」の字配置に変えました。
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