
「受け身の姿勢」は民主党の命取りになる
堀田佳男の「オバマの通信簿」【19】
アルバート・ゴア氏の選対委員をつとめたドナ・ブラジル氏が来日。鳩山政権に課せられた政治課題とオバマ政権の今を聞いた。
文=堀田佳男
特別インタビュー:政治ストラテジスト ドナ・ブラジル
総選挙で民主党が圧勝したことで、日米両国に民主党の時代が到来した。保守からの決別は新しいリベラルの風を呼び込めるのか。
アメリカの政治ストラテジストで、2000年の大統領選挙ではアルバート・ゴア氏の選対委員をつとめたドナ・ブラジル氏(49)がこのほど来日。鳩山政権に課せられた政治課題とオバマ政権の今を聞いた。
Q 自民党が敗北し、民主党が勝ったことであらたに見えてくる日本政治の課題は何でしょう。
A 政党はつねに有権者の声を代弁する組織でなくてはいけないと考えます。自民党が大敗したのは国民の声を聞かなくなったからです。ですから民主党は今後、自民党の轍を踏んではいけない。いまこそ一般市民が社会の何に不満を抱き、憤りを感じているのかを冷静に探らなくてはいけません。ですから、本当に市民のための政策を実行することに力点を置くべきです。貧窮した経済状況を立て直し、失業者に手を差し伸べるといった政策は必須です。
経済面では将来の日本をリードしていく「エコノミック・エンジン」となるような政策を示し、国民の経済不安を解消する必要があります。漠然とした経済不安だけでなく、年金や健康保険の制度的な憂慮を払しょくする方策を提示しなくてはいけません。それが民主党に課せられた当面の課題です。
Q 国民は不安でありながらも、そうした課題の実現を民主党に期待したわけですね。
A 日本は短期間で目覚ましい政権交代劇を実現させた。一つだけ指摘したいのは、選挙期間中に理想的なマニフェストを口にし、有権者に希望を与えることはできましたが、ひとたび政権を執る立場になると「現実」に直面せざるを得ません。妥協も必要でしょうし、より現実的な行政力が要求されます。
同時に、一票の大切さが今回の選挙で理解できただろうと思います。むしろ、アメリカが日本の有権者の姿勢を学ぶべきかもしれません。というのも、投票日直前、台風が日本に上陸しようとしていました。それでも投票は決行され、多くの有権者が投票所に足を運びました。そこには何かを変えようという強い意識が見られました。
堀田 佳男
1957年東京生まれ。早稲田大学 文学部を卒業後、ワシントンDCにあるアメリカン大学 大学院国際関係課程修了。大学院在学中に読売新聞ワシントン支局で1年間助手を務める。卒業後、米情報調査会社に勤務。アメリカの日刊紙の日本語ダイジェストの執筆・編集に携わる。永住権取得後、1990年に会社を辞して独立。以来、ジャーナリストとして政治、経済、社会問題など幅広い分野で精力的に執筆活動を行っている。25年の滞米生活後、2007年春帰国。
著書に『大統領はカネで買えるか?』(角川新書)『大統領のつくりかた』(プレスプラン)など。
武田薬品、富士通、資生堂……。経営者の知られざる素顔を描く。
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