
10万円から始める「自宅に飾るアート」
ビジネスマンのための「現代アートABC」【第35回】
本当に欲しい!という意志さえあれば、実はアート作品はけっこうかんたんに手に入れられる、のです。
山口裕美=文
最近、美術館やギャラリーに足を運ぶ人が確実に増えているように感じます。嬉しいことです。また、自宅を快適にし、外食よりも自宅で食事をとったり、友人を招いて食事会をしたり、という傾向も増えていると聞きます。若いアーティストのアート作品を自宅に飾り、その話題で盛り上がったりすることもあるようです。
身近な人々に、アートを自宅に飾るということに予算はどれくらいと考えているのか、アンケートしてみました。すると、やはりまずは10万円という予算のラインが出てきました。10万円以内なら、比較的購入の決断をしやすい、とのこと。さらに30万円以内、50万円以内、100万円以内、という段階があるようです。
私は著書の中で、働く女性がファッションに注ぎ込む額を調べたことがありますが、化粧品やファッション小物が5万円以内、ブランドバッグは15万円から30万円でした。特に自宅通勤をしている方は、かなり余裕があり、お洒落にお金をかけているという話でした。ジュエリーやエステにもお金をかける傾向が強く、美に対しての支出が多いようです。家賃を支払っている女性でも、家賃が折半できれば、あるいは彼とのダブルインカムになれば、ぜひアート作品を購入してみたい、という希望があるようでした。男性も同じかもしれませんね。
そういう潜在的なコレクター達に私が著書の中で薦めたのは、アーティストのマルチプル(同じ作品を複数、限定で作ったもの)やアートフェアなどで小品を探すことですが、予算がどんなに少なくとも、本当に欲しい!という意志さえあれば、実はアート作品はけっこうかんたんに手に入れられる、のです。
この連載でもギャラリーについて紹介した折に書きましたが、ギャラリーではカードでの支払いもOKですし、分割での支払いも問題ありません。交渉次第では利子分を免除してくれるケースも少なくありません。さらに、ギャラリーとの信頼関係ができれば、余裕のない月には1万円、余裕のある時には5万円といった変則的な支払いも受け入れてくれます。売る側がそうしたことを理解してくれ、こちらも理解して買うという商品はアート作品だけだろうと思います。ギャラリーもアーティスト自身も、本当にその作品が欲しいという買い手の気持ちを重視しますし、本気度を見るからです。
さて、アートに興味を持ち、アート作品を買ってみようかなと考えているビジネスマンの皆さまの参考のために、ビジネスマンコレクターの大先輩で、コレクター仲間で作る「美楽舎(びがくしゃ)」を主宰している澤登丈夫さんに会ってお話を伺ってきました。澤登さんは化学系企業でバリバリと働かれ、現在は社会に大きく貢献するようなベンチャー企業、株式会社CANGO(ガンの創薬開発)を率いておられる方です。
山口 裕美
Yumi Yamaguchi●アートプロデューサー&アートジャーナリスト。アーティストをもっとも近くから応援するその活動から「現代アートのチアリーダー」の異名を持つ。ウェブサイト、トウキョウトラッシュを主宰。アート系NPO法人芸術振興市民の会(CLA)理事。エレクトロニックアートの祭典「eAT金沢99」の総合プロデューサー、2004年ARS ELECTRONICA ネットビジョン審査員。著書に「TOKYO TRASH web the book」(美術出版社)、「現代アート入門の入門」(光文社新書)、「COOL JAPAN-疾走する日本現代アート」(BNN新社)、「芸術のグランドデザイン」(弘文堂)、「Warriors of Art」(講談社インターナショナル)、最新刊「The Power of Japanese Contemporary Art」(アスキー)がある。
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