実践ビジネススクール
2009年 9月 24日

民主党・新政権に告ぐ!大前流「日本列島改造論」

大前研一の日本のカラクリ

衆議院選挙で圧勝した民主党。鳩山新政権は順調な船出をしたかのようだが、果たして前途はどうなのか?

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衆議院選挙で圧勝した民主党。鳩山新政権は順調な船出をしたかのようだが、果たして前途はどうなのか? 「脱官僚」を謳う政策の数々に、実は致命的な欠陥があるという。それは何か――。ずばり指摘する。

民主党・新政権で日本は変わるのか?

民主党政権が誕生した。この記事をご覧になる頃には、国会で首班指名が行われ、晴れて鳩山由紀夫・民主党代表が首相となっていることだろう。

民主党政権で、日本は変わるのか?私はいささか否定的な見解を持っている。そもそも、政策立案の入り口部分でズレていると思うからだ。

その象徴が、今選挙で発表したマニフェスト。私に言わせれば、バラマキ政策で華やかに飾り付けられたクリスマスツリーのようだった。月額2万6000円の子供手当、公立高校の無料化、農家の所得補償、高速道路無料化……社会主義政権と見紛うほどだが、極めつきは3年を目処に全国平均で時給1000円を目指すという最低賃金。すべて「富の創出」なくして「富の分配」のみを打ち出した、選挙対策用の愚策にすぎない代物だ。連立を組む社民党も、この最低賃金1000円を公約に謳っているから始末が悪い。

そこで今回は「富を創出する仕掛け」について考えてみたい。この連載(>>目次はこちら)で拙著『最強国家ニッポンの設計図』(小学館)の中で提示したアジェンダ(取り組むべき課題)について解説してきたが、「富の創出」も極めて重要なアジェンダになるからだ。

まず、私が提示したアジェンダについて、いま一度整理しておこう。

「国のカタチ」を定義する根本は憲法である。ところが現行憲法はその生い立ちゆえに構造が劣悪で、必要でありながら書かれていないことがたくさんある。そこで憲法改正とともに、新しい「国のカタチ」に関して、国論を二分する以下のようなアジェンダがあると考えている。具体的には、こうだ。

(1)憲法は新しく描くのか(A)、現行憲法の不具合を改正するのか(B)
  (2)統治機構は経済自立できる道州単位にするのか(A)、中央集権のまま行政を大くくりにして分権するのか(B)
  (3)国際社会における日本の立ち位置として、地球的規模の問題に直接関与するのか(A)、それとも一国主義でODAなどを通じてできる限りの貢献にとどめるのか(B)
  (4)富の創出の仕掛けとして、ルールを決めて企業に任せるのか(A)、初めに国ありきで規制と許認可を原則とするのか(B)
  (5)最低限の安全と安心という保障、すなわちセーフティーネットは国の責任なのか(A)、自治体の個別サービスに任せるのか(B)

この5つについて私はAを支持する。世界経済を取り込む意味でも、日本が強力な先進国として軍事力ではなく知的貢献で世界に大きな影響力を発揮するという意味でも、Aを選択することが必要、と思うからだ。これらの点について、責任政党に対して政策を明確にするよう働きかけ、生活者の立場で国家戦略を立案・具現化していくためのシンクタンクとして「ザ・ブレイン・ジャパン(TBJ)」を設立する(http://www.thebrainjapan.com/)。

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プロフィール

大前 研一

ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長

1943年、北九州生まれ。早稲田大学理工学部卒。東京工業大学大学院で修士号、マサチューセッツ工科大学大学院で、博士号取得。日立製作所を経て、72年、マッキンゼー&カンパニー入社。同社本社ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任し、94年退社。現在、自ら立ち上げたビジネス・ブレークスルー大学院大学学長。近著に『ロシア・ショック』『サラリーマン「再起動」マニュアル』『大前流 心理経済学』などがある。 >>大前経営塾

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