
効率運営の秘訣は「10分で意思決定する」仕組み
USJ編(2)
天候の予想がつきにくい日は出席者にもストレスがたまるだろう。だが、マネジャーは意外と平静だった
野地秩嘉=文 浮田輝雄=撮影
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)には年間800万人超のゲストがやってくる。対して、スタッフの数は繁忙期でも3000人程度。効率的な運営がなされている。
そんな運営を支えるひとつが毎朝必ず行われる朝礼だ。テン・ミーティングと呼ばれるそれは、時間が10分だけ、参加者は各部門の責任者が10人だけという実質を重んじた朝礼である。始まるのは開場の1時間前。内容は情報の共有とそれによる意思決定だ。早朝に上がってきた情報を出席者が検討し、園の運営を弾力的に変更する決定を下す会議である。
朝礼で、出席者全員がもっとも気にするのが当日の天候予想である。雨が降れば、屋外のアトラクションを中止する必要が出てくる。また、入場者数が変わるからレストランや土産物店にも影響が出る。
天候の予想がつきにくい日は出席者にもストレスがたまるだろう。だが、オペレーション部マネジャーの高塚正博氏は意外と平静だった。
「予約の人数が多いので、雨が降ったからといって、それほど入場者が減ることはありません。ただし、屋外のアトラクションやショーをやるかやらないかの判断を下さなくてはならない」
例えばピーターパンのショーは屋外で行われる。小さな子どもたちが楽しみにしているから、子どもの喜ぶ顔を考えると、できるだけ開催したいと思ってしまう……。しかし……。
「決定の根拠は3つ。安全が最重要で、次がお客さまの満足、そして、効率的な運営になるかならないか。朝礼は短い時間なので、限られた情報で迅速に正しい判断をすることが要求されます」
USJの朝礼は目的が絞られている。ひとつは情報の共有であり、もうひとつは運営上の意思決定だ。緊迫感あふれる朝礼で、ビジネスマンにとっては、判断の訓練になる実践的な場と言える。
野地 秩嘉
ノンフィクション作家
1957年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。美術プロデューサーを経て作家へ。『キャンティ物語』(幻冬舎文庫)など著書多数。監修・構成した『成功はゴミ箱の中に』(プレジデント社)が10万部のベストセラーになる。
武田薬品、富士通、資生堂……。経営者の知られざる素顔を描く。
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