
「ブログ市長」が語る食税族のアッパー待遇
公開! 地方役人の給料【1】
「市の税収は20億円なのに、人件費だけで24億円が出ていく。公務員は泥棒だ」
ジャーナリスト 若林亜紀=文 プレジデント編集部=撮影
ついに白日の下にさらされた。鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が、市職員の全給与明細をネットで公開した。賛否はともかく、現地から聞こえたのは「自分たちと全然違う」と嘆く市民の声だった。
旅行三昧の市議団は「とんでもないバカ」
「市民の平均所得は約200万円、でも市職員の54%が年収700万円以上。市の税収は20億円なのに、人件費だけで24億円が出ていく。公務員は泥棒だ」
鹿児島県阿久根市に、こんな過激な発言を続ける市長がいる。竹原信一市長は、2008年8月に当選。議員の数や報酬を減らそうとして市議会に不信任決議を可決されたため、議会を解散させた。この3月の出直し市議選では、定数16人に23人が立候補。4人の新人を含む市長支持派の5人が上位を独占し、反市長派の前職のうち4人が議席を失った。ただし市長の不信任案再可決に必要な11議席を「反市長」派が占めている。
竹原市長の名を全国に知らしめたのは「ブログ」だ。自らのブログで「辞めさせたい市議アンケート」を実施。さらに2月には、市のホームページで07年度決算での全職員268人の給与を1円単位まで公表。これには大阪府の橋下徹知事が「納得できる」と賛意を示した。
阿久根市はJR鹿児島駅から電車で1時間半ほどのところにある。人口は2万4356人(09年1月末)。海辺の丘にぼんたん畑が広がる過疎の市である。
昨年度の歳入107億円のうち、市税は20億円。国から51億円、県から6億円をもらっている。それでも足りず、借金である市債を7億円も発行した。
庁舎は赤い壁が印象的な3階建て。2階に上がると、作業服のジャンパーを着た竹原市長が出迎えてくれた。背は高く、やや細身。書棚には拙著を含め公務員問題に関する本がずらり。
鹿児島弁交じりの朴訥とした口調で、市長になった経緯を話してくれた。
「仕事で役所にいくたび腹がたった。役人は、仕事はできない、能力低い、やる気なし。でも権力を持っている。あるとき、受注した市営住宅の建設図面がおかしいから『自分が住むならと考えてみろ』と言った。そうしたら、市の担当者は『俺は住まんから』とうそぶいたんだ。それで、反感もあって市長と役所についていろいろ調べ始めたら、知れば知るほどおかしいことだらけだった」
まずは「一人で暴動をおこすつもり」で、市長や市役所を糾弾するビラをつくった。バイクで配ってまわり、自分の車にも貼り付けて走った。建設会社にとって市役所は大口の客。親からは絶縁されかかった。それでも、徐々に賛同者が集まり、05年には市議選で当選した。
若林 亜紀
ジャーナリスト
わかばやし・あき●1965年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。大手建設会社に就職後、日本労働研究機構へ。10年勤務後に退職。著書に『公務員の異常な世界』(幻冬舎新書)、『独身手当』(東洋経済新報社)などがある。
武田薬品、富士通、資生堂……。経営者の知られざる素顔を描く。
絶好調企業は必ず効果的な「朝礼」をしている!レポートはこちらから































