暮らしの裏ワザ事典
2009年 10月 6日

潰瘍性大腸炎

難病指定されている疾患(特定疾患)だと、「患者が少なく、私には関係ない」と考えてしまう人が多い。が、そうとばかりはいえない。

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難病指定されている疾患(特定疾患)だと、「患者が少なく、私には関係ない」と考えてしまう人が多い。が、そうとばかりはいえない。患者が右肩上がりに増えている特定疾患もある。潰瘍性大腸炎がそれである。大腸に炎症が起きるだけではなく、潰瘍までも引き起こす病気。炎症と潰瘍のできる範囲で3つのタイプに分けられている。

(1)炎症・潰瘍が直腸だけに限局している「直腸炎タイプ」。
  (2)体の左側の直腸、S字結腸、下行結腸にできる「左側(さそく)大腸炎タイプ」。
  (3)盲腸をも含めた大腸全体にできる「全大腸炎タイプ」。

大腸の働きが障害されるので、下痢を引き起こす。それも回数が多くなるだけではなく、突然の便意に襲われることもあり、腹痛、腹部不快感の症状も加わる。

さらに、粘膜が障害されるので下血も起こし、症状が重症化すると貧血、体重減少、倦怠感がでてくる。

いろいろ症状はあるが、基本は「下痢」「血便」「粘血便」であり、よくなったり悪くなったりを繰り返す。

患者は20代の若い人々に多いものの、どの年代でも発症する病気。原因はまだわかっていないが、自己免疫の異常のほか、遺伝、欧米型食生活、ストレス、ウイルス感染説などが取りざたされている。

原因がわからないうえに似たような症状を起こす疾患が多いので、診断も難しいが、さらに、治療も難しい。疑いがあるときは、専門医の診察を受けるべきである。

治療の基本は「薬物療法」と「食事療法」。薬物療法の効果が弱いときには、バックアップとして「白血球除去療法」を。そして、さらなる段階が「手術」となる。

薬物療法の基本は「5-ASA(アミノサリチル酸)製剤」。これで炎症を抑える。炎症の強い活動期にはより効果の強い「ステロイド薬」が使われる。緩解期をより長く維持するには免疫抑制薬の「6MP(メルカプトプリン)」や「アザチオプリン」などが使われることもある。

これでも充分コントロールできないと、白血球除去療法。これは原因はわからないものの免疫異常という点から考えられた。白血球が大腸粘膜での炎症を引き起こし、悪化させている。ならば、白血球だけを除去すれば炎症は抑えられるというのである。

1週間に1回、1時間、血液を体外に取り出し、フィルターを通して白血球を取り除いた後に血液を体に戻す。体外循環をさせる。血液の量としては、1.8~3.0リットルがフィルターを通過する。

治療は最高10回(激症では11回)の保険適用が認められており、症状を改善している。が、まだ科学的根拠に乏しいとあって、アメリカやヨーロッパで臨床研究が始まっており、日本の大学病院も参加している。

【食生活のワンポイント】

単なるワンポイントでなく、今回は治療のひとつの「食事療法」である。

原因として「欧米型食生活」があがっているだけに、脂肪が大きなカギを握っているようである。

症状が強い活動期には、脂肪の少ない良質のタンパク質を取る。それは、白身魚、大豆、卵など。そして、消化の悪いものは避けて体力維持を心がけるのが大事である。

香辛料やコーヒー、紅茶などの刺激物も急性期には避ける。お酒、タバコについても禁酒、禁煙が当然となる。

古き良き時代の日本食を思い出し、そのような食生活を復活させると、そう難しいものではないはずである。

ただ、緩解期になると食生活を厳しく制限する必要はなく、ごく一般的なバランスのいい食生活でOKといわれている。が、緩解期をよりしっかりとしたものにするためには、そのまま日本食を続けるのがいいのかもしれない。

プロフィール

松井 宏夫

医学ジャーナリスト

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