実践ビジネススクール
2009年 10月 9日

「組織シンプル化=利益倍増」の法則

複雑化した組織には、莫大な「目に見えない」コストが発生している

売り上げを伸ばそうという各部門の熱意が、実際にはとんでもない額の無駄をもたらしている場合がある。

売り上げを伸ばそうという各部門の熱意が、実際にはとんでもない額の無駄をもたらしている場合がある。得体の知れない「共有コスト」の実態を解明し、事業をシンプル化することでこの無駄を排除しよう。

今日のマネジャーは成長を生み出さねばならないという強い重圧を感じている。だが、実際に、売り上げを伸ばそうとする熱意が、高い代償をともなう手に負えない複雑さをもたらし、そのため事業を構成する個々の要素がぼやけて全体の収益性が下がることがある。

たとえば、販売やマーケティングや設計のスタッフは、概して新製品を発売したり、新規顧客を獲得したり、新市場に参入したりすることをめざす。マネジャーは事業全体への累積的な効果を顧慮せず、製品やブランド、販売経路や顧客を1つずつ追加していく。高価な生産資産を活用する必要がある製造部門のスタッフは、新規の大量受注のチャンスに対応可能な計画を立てる。つまり、製造システムや販売システムに無理がかかるほど設備能力をフル稼働させるのだ。

また、合併や買収は、企業の戦略的ポジションを強化するために行われるのに、往々にして1つにまとめたり簡素化したりしにくい、大きいばかりでバラバラの事業環境を生み出す。

事業の複雑さが増すと、簡単には発生元を突き止められない会社全体にまたがるコストが生まれる。また、個々の構成要素の利益貢献度が明確に把握できなくなり、何をいくらで誰に売るべきかについて上級マネジャーが正しい決定を下すのが困難になる。

個々の製品やブランド、販売経路や顧客の実際のコストを詳しく調べよう。そうすれば、全レベルのマネジャーがバリュー・チェーンの各リンクにこうした複雑さが与えている影響を理解し、それを踏まえて戦略を練り直せる。

(1)構成要素別の収益性を分析する

まず、どこで実際に利益を生み、どこで損をしているのかをより明確に把握することから始めよう。この作業は簡単にはいかないことがある。多面的な組織には得てして、事業や地域にまたがる一貫性のある情報やシステムが欠けているからだ。そうした事業や地域の「共有コスト」──特定の構成要素に直接かかったものとはみなせないコスト──が、全体のコスト構造の大きな割合を占めている。収益性分析は一般に、事業ラインやブランドによって、あるいは製品や顧客によって利益に大きな開きがあることを暴き出す。

その典型例といえるのは、ある消費財メーカーで、ここでは仮にコンソリデイティッド社(C社)と呼んでおこう。C社のマネジャーは、長年の大口顧客であるマクガフィン社(M社)をその地域の2大重要顧客の1つとみなしていた。

しかし、C社にとって価格設定は不利だったし、M社への販売にともなう複雑さは、この顧客のために特別に設けられた30近いSKU(在庫管理単位=品目)のせいで目もくらむほどだった。C社はこれらの製品を4工場を使って生産しており、すべての工場の注文を集約するために、もっぱらM社のために「ミキシング・センター」を設けていた。そのコストはM社にかかる経費として計上されておらず、この地域のすべての顧客に割り振られていた。

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