暮らしの裏ワザ事典
2009年 10月 9日

IgA腎症

風邪などの上気道感染を繰り返し、血尿やたんぱく尿が出て、なかなか回復しないときなどは、IgA腎症を疑うべきである。

キーワード: 腎臓 元気なカラダ入門
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腎臓の糸球体を原発として発症する糸球体腎炎。それには5つのタイプがあるが、日本人に多いのはIgA腎症である。

糸球体は腎臓にある組織で、毛細血管が糸玉のようになっていることから糸球体といわれる。極めて小さな組織で一つの腎臓に約100万個あり、フィルターの働きで尿のもとである「原尿」をつくりだす。

IgA腎症はその糸球体に、免疫グロブリンというたんぱく質の一種であるIgAが沈着して炎症を起こす。その炎症部分が増加することで糸球体の毛細血管を圧迫し、腎機能が低下する。

風邪などの上気道感染を繰り返し、血尿やたんぱく尿が出て、なかなか回復しないときなどは、IgA腎症を疑うべきである。

もちろん、このほかにも「むくみ」「高血圧」「全身のだるさ」「微熱」などの症状がある。

しかし、ほとんどの人は、このような強い症状があって病気が発見されるのではない。無症状のときに、“チャンス尿”で見つかっている。健康診断やほかの病気で尿検査をした偶然の機会(チャンス)に発見されるのである。

1980年頃までは予後の良い病気といわれていたが、最近、日本やフランスの患者調査を行ったところ、20年経過すると、60%の人々は状態が横バイ。ところが、40%の人々は人工透析治療に移行していることがわかった。

つまり、進行する側面も併せ持っているのである。

だからこそ、定期的な健診で血尿やたんぱく尿が発見されたときは、軽度であろうと、しっかり精密検査を受けるのが大事である。

検査は最終的に腎臓に針を刺して組織を直接取り出す腎生検を行った時点で確定するとともに、予後が良好か否かも推察できる。

予後判定によって治療はより的確さを増す。

治療は「薬物療法」「食事療法」「日常生活」が基本。

薬物療法では以下の薬が使われている。炎症を抑え、IgAの過剰生産も抑える「ステロイド薬」「免疫抑制薬」。血液をかたまりにくくしたり、血栓をできにくくする「抗血小板薬」「抗凝固薬」。尿量を増やしてむくみを改善する「利尿薬」。腎臓への負担を少なくし、たんぱく尿を改善するために血圧を下げる「降圧薬」などがある。

ここでのステロイド薬は恒常的に使う方法ではなく、「パルス療法」といって、短期間に大量投与する方法が用いられている。

日常生活としては、「過激な運動は避ける」ように指導される。

【食生活のワンポイント】

IgA腎症とのつきあいは長い道のりなので、日常生活、そして食事療法が大きなウエートを占める。食事療法の基本は以下の6点である。

(1)低たんぱく食を心がける!
 たんぱく質は血中の老廃物を増やす。だから、1日50~60グラム程度をめざす。

(2)植物性たんぱく質を減らす!
 肉・魚・卵のたんぱく質を減らすより植物性たんぱく質を減らす工夫をする。

(3)カロリーは十分に!
 たんぱく質を有効に利用するためには、カロリーを十分に摂取する必要がある。1日1800~2200キロカロリー程度。

(4)塩分は控え目に!
 塩分は腎臓への負担が大きいので、1日6~8グラムを守る(ただし、体の状態によって異なる)。

(5)尿量が減ったら水分を減量!
 水分を控える必要はないが、尿量が減ってきた場合は減量する。

(6)腎機能が低下したら、野菜・果物にも注意する!
 野菜・果物に制限はないが、腎機能が低下したら十分な注意が必要となる。

プロフィール

松井 宏夫

医学ジャーナリスト

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