部課長の基本
2009年 10月 24日

人材育成の秘訣は「無給で無償の愛情を注ぐ」

野村証券編(2)

「インストラクターはオフィシャルな仕事ですが、それに対して報酬はありません。無給で無償の愛情を注げというのがこの制度です」

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野村証券の新入社員は1年間、「朝の打ち合わせ」で日経新聞の読み方を習う。各部、各支店のインストラクター(先輩社員)は出社すると、新人に経済ニュースの読み方、分析の仕方を教える。野村証券における「朝の打ち合わせ」は新人研修のひとつであり、さらに情報武装を目的とした実質本位の朝礼と言える。

こうした野村証券独特の人材育成法について、人材開発部の亀之園英一課長は次のように説明する。

「新人にインストラクターをつけるようになったのは1971年からです。たとえば支店では、日経新聞の読み方から営業同行、日常業務の相談など、あらゆる面でバックアップする。休日、自宅に呼んで勉強会を開くインストラクターもいます。インストラクターは社長から委嘱されたオフィシャルな仕事ですが、それに対して報酬はありません。無給で無償の愛情を注げというのがこの制度です」

全国各地で約700人の新人が日経の読み合わせを行っている。マンツーマンか1対2が基本だ。
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全国各地で約700人の新人が日経の読み合わせを行っている。マンツーマンか1対2が基本だ。

亀之園氏も新人時代には指導を受けた。そして、入社4年目と8年目にはインストラクターとして新人の面倒を見た。公私ともに世話になった先輩社員には頭が上がらないし、自分が指導した新人のことは今でも気になるという。

つまり、インストラクター制度は長年行われているうちに社員同士のきずなを深める役割をも果たしている。

「朝の打ち合わせを1年間やると、新人はがらっと変わります。顔つきも大人になるし、営業マンであれば成績も伸びます。先輩社員にとっても、マネジメント能力を培うことになる。インストラクター制度には新人も先輩もともにメリットを受けるのです」(亀之園氏)

野村証券の創業者、野村徳七は「人材を養うことは資本力以上の大いなる財産」と言っていた。野村証券の猛烈な営業力、しっかりとした団結力をつくり上げた背景には「朝の打ち合わせ」とインストラクター制度のふたつがある。

プロフィール

野地 秩嘉

ノンフィクション作家

1957年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。美術プロデューサーを経て作家へ。『キャンティ物語』(幻冬舎文庫)など著書多数。監修・構成した『成功はゴミ箱の中に』(プレジデント社)が10万部のベストセラーになる。

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