社長の仕事術
2009年 11月 2日

飯島 勲|総理が使う政府専用機の解剖図

「リーダーの掟」

政府専用機の乗組員は全員が自衛官です。機長や通信、整備関係などの自衛官スタッフはみな2階にいます。

キーワード: リーダーの掟 飯島勲
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信号の色を変える警察の「手品」とは

よくテレビなどで、天皇陛下や総理大臣が外遊に出るときに、手を振りながら政府専用機へ乗り込むシーンが報道されています。

総理大臣はどのようにして外国へ旅立つのでしょうか。

旅程は、クルマで羽田空港へ行き、外遊を終えると羽田空港に戻り、クルマで帰るというものです。

通常、天皇陛下や総理、国賓のクルマが道を走るとき、道路のすべての信号は手品のように「青色」になります。隣接する道路はすべて「赤」。

その手品の使い手は警察です。公務に支障が起きないようにするためです。

過去には、ある総理が公邸を使わずに、東京の主要幹線道路を横断する通勤を毎朝していたため、大渋滞になってしまったこともありました。

小泉総理は、仮公邸(五反田)、公邸(官邸横)を使っていたことに加え、外遊に向かうとき以外は「手品」を使わないようにしました。その点、国民生活に配慮したのです。

ただし外遊先での案件がスムーズに行くよう「験担ぎ(げんかつぎ)」の意味も込めて、羽田空港へ行くときだけは、慣例通り「手品」を使いました。ですので、官邸からの外遊は文字通りの直行となるわけです。

政府専用機は、航空自衛隊所属の飛行機で「特別航空輸送隊」(特輸隊)が運航を管理しています。総理の外遊のないときには、北海道の航空自衛隊千歳基地で整備され、待機しています。

また過去に一度も首脳(天皇陛下や首相)が訪問したことがない国に行く場合には、事前に、使用予定の空港に行って、実際の政府専用機が離着陸の“予行演習”を行っています。危機管理上の必要からです。たとえば、南米などには地盤の弱い空港もあり、ジャンボ機で燃料を満タンにしてしまうと重すぎて飛び立てないことがあります。それを防ぐためには「カナダのバンクーバー経由にして、現地での補給は航続距離分ギリギリだけで済ませる」というような事前の計画作りが重要になります。その計画の立案に、実際の航空機でテストするのが一番なのです。

政府専用機で首相の過ごすスペースにはイスと机に加え、ベッドやシャワールームも付いています。官房副長官(初外遊のときは安倍晋三議員)も個室を与えられました(シャワーはなし)。秘書官以下は普通のビジネスクラス程度のイスで過ごします。

われわれ官邸秘書官席のテーブルには電話やFAXが設置されています。音質はとてもクリアです。国内に連絡を取る必要が生じて電話するとき、「政府専用機からなんだけど……」と切り出すと、相手はたいていびっくりしていました。

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プロフィール

飯島 勲

いいじま・いさお●長野県辰野町生まれ。小泉純一郎元総理大臣首席秘書官。現在、松本歯科大学特任教授、駒沢女子大学客員教授。

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